齊藤拓実

特に期待したいのはホーキンソンとのツーメンゲーム

今夜、男子日本代表はWindow1のチャイニーズ・タイペイ戦でいよいよ『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』がスタートする。長丁場の予選とはいえ、Window1はなんとしても勝たなければいけない状況の日本だけに、12名のロスターはBリーグで活躍しているベテラン勢が中心となった。

特にポイントガード陣は代表常連の富樫勇樹に加え、安藤誓哉と齋藤拓実が久しぶりに復帰。3人とも30歳以上という経験豊富な構成となった。

齋藤の代表でのFIBA国際試合メンバー入りは、前回ワールドカップ予選のオーストラリア戦(202271日)以来となる。ここ数年、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの絶対的な司令塔として、リーグ屈指のハイパフォーマンスを続けていた齋藤だけに、待望の代表復帰だ。激しいサバイバルレースを勝ち残り、12名入りを果たしたことについて齋藤は「ここまで残れる力を持った選手はBリーグにたくさんいると思っています。その中でチャンスをつかみとれたのはうれしいです」と語る。

今回、齋藤が特に期待されているのは、唯一無二の巧みなパスさばきによってオフェンスをクリエイトすること。中でも代表の貴重な得点源であるジョシュ・ホーキンソンをうまく生かし、相手ディフェンスを崩していくプレーが求められる。

チャイニーズ・タイペイの帰化選手ブランドン・ジルベックは211cmのサイズとフィジカルの強さが持ち味で、ゴール下でのハードワークに長けているビッグマン。ただ、機動力に長けたタイプではないので、ホーキンソンが確率良く得点を挙げるためにはローポストからの11より、ガードとのツーメンゲームからアウトサイドに出ての3ポイントシュートやドライブを仕掛けていくべき。そして、外角シュートを得意とするビッグマンを生かすプレーは齋藤の得意とするところだ。

短い準備期間の中でも、齋藤はビッグマンとの連携に手応えを得ている。「ジョシュ選手もニック(メイヨ)選手とも一緒にプレーするのは今回の合宿が初めてでしたが、2人ともディフェンスの動きを見て反応してくれ、ピックからロールするのかポップするかの判断もすごく良いです。3ポイントシュートの確率も高いですし、オフボールのスクリーンをしっかりかけてくれます。僕とのツーメンゲームだけでなく、シューター陣を生かせるのもすごいと思います」

ここまでオフェンス面に触れてきたが、今回のチャイニーズ・タイペイ戦では、相手の得点源である強力なガード陣をいかに抑えるかが最大のカギとなる。齋藤は「準備期間が少ない中、『こういう場合はこう動く』といった細かい部分を詰めきれてないのが正直なところです」と語るが、「自分のチームでもやっているように、しっかりと前からプレッシャーをかけて、守備のトーンをセットしていきたいです」とタフな守備でも貢献する意識は高い。

前回のワールドカップ予選、齋藤は1次ラウンドの3試合に出場し、平均10.6分出場で2.7得点、1.7アシストと不完全燃焼に終わった。この苦い経験を乗り越えての代表復帰に「この先にはワールドカップもありますが、まずはこの2試合、日本はとにかく勝たないといけないです。その中で個人としてコートで結果を出して勝利に貢献することが、最も重要だと思います」と意気込みを語る。

齋藤らしい、自ら得点を取るだけでなく他の選手を輝かせるゲームメークを、今回こそ代表でも見せてくれることを期待したい。それができた時、彼だけでなく日本代表にとっても望む結果がついてくる。