アジャイ・ミッチェル

唯一の黒星を喫したブレイザーズにリベンジの大勝

サンダーは開幕16試合を戦って15勝。唯一の黒星を喫した相手はトレイルブレイザーズだった。それから18日後、シーズン2度目のブレイザーズ戦、今度は敵地ではなくホームゲームで、サンダーは完璧な試合運びで122-95の完勝を得た。第1クォーターにシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが17得点でオフェンスを引っ張り、39-18と大量リードを築く。その後も25点前後のリードを保ち続ける危なげない試合運びだった。

第1クォーターにフィールドゴール7本中6本成功、フリースローも5本得てすべて決めたシェイは、試合を通じてわずか30分のプレーで37得点7アシストを記録。もはやシェイの活躍は驚きではない。

シェイ以外でこの試合で目立ったのはアジャイ・ミッチェルだ。第1クォーターに投入された途端にシュート2本を立て続けに決めたことで彼は良いリズムに乗った。ライアン・ルペアの緩慢なドリブルを見逃さずに腕を伸ばしてスティールに成功し、そのまま速攻に走る。シュートに跳んだ際に、奪い返そうと必死なルペアになぎ倒されたが(大ケガに繋がってもおかしくないプレーで両チームの選手たちが揉み合いとなり、ルペアにはフレグラントファウルがコールされた)、それでもミッチェルのリムに向かう積極性は衰えない。フレグラントファウルにより得た追加のポゼッション、ミッチェルはヤン・ハンセンを攻めてショートレンジのジャンプシュートを沈めている。

「僕はもう次へと切り替えてフリースローの準備をするだけだった。チームメートが僕を守ってくれたことには感謝している。でも、僕は怒ってはいなかった。ハードファウルだったけど、バスケでは起こることさ」とミッチェルは振り返る。

ミッチェルは24分の出場で20得点を記録。3ポイントシュート2本を含むフィールドゴール8本すべてを沈め、アシストも4つ。得失点差ではシェイとアレックス・カルーソに続く+24を記録した。

ミッチェルに限らないが、大量リードがあっても攻守に集中を保ち、相手に付け入る隙を与えない。その姿勢が16勝1敗という好成績を生み出している。

「20点リードしていようが、30点リードしていようが、僕らは48分間同じプレーをしようと心掛けている」とミッチェルは言う。「それはなぜかと言えば、チームとして成長したいからだ。一つひとつの試合が僕らにとっては成長の機会になる。だからスコアに関係なく、集中してプレーするんだ」

「このチームには素晴らしいケミストリーがある。でも、改善できる可能性はどこにだってある。特に僕はまだ2年目の選手だから、コミュニケーションを取るべき部分は多いよ」

ミッチェルは昨年の2巡目38位指名の選手。サンダーはすでに若く充実したロスターを擁しながら、今後も多くのドラフト指名権を持っていることで、今後長く勝ち続ける『王朝』を築くのではないかと見られている。しかし重要なのは、2巡目指名の選手でもサンダーの文化を学び、そのプレースタイルの中で持ち味を発揮していることだ。指名権がどれだけあっても、上手く活用できなければ意味はない。指名権を多く抱える中で、取るに足らないような2巡目指名権であってもミッチェルのような『宝石』に変える。そのシステムこそが、サンダーの強さの秘密なのだ。