北村優太&高橋歩路

6月1日、開志国際は県内のライバルである帝京長岡に敗れ、インターハイ出場を逃した。インターハイには6大会連続、ウインターカップには7大会連続と「全国大会出場が当然」になっており、負けてしまった以上は「油断がなかった」とは言いきれない。そこからチームは悔しい夏を乗り越え、秋に大きな成長を遂げて、12月23日からのウインターカップで捲土重来を誓う。ダブルキャプテンの一人であるポイントガードの北村優太、2年生エースの高橋歩路に、その意気込みを語ってもらった。

「どんなメンバーだろうと絶対勝つという気持ちで」

──今年はインターハイ出場を逃し、U18日清食品トップリーグにも出られず、大きな注目を浴びることなくここまでやってきました。今年の開志国際はどんなチームですか。

北村 去年はスタートの5人が中心のチームでしたが、今年はベンチメンバーも含めて10人ぐらいがしっかり出て、ディフェンスやリバウンドの強度を高く保って走り勝つようなバスケを目指しています。

高橋 試合に絡む人数が多い分、ハードなディフェンスを40分間続けられます。アップテンポな展開の中で3ポイントシュートを狙えるのが特徴ですし、そういうプレーが出るとベンチも含めて盛り上がって、一気に開志国際のリズムになります。アップテンポなバスケの楽しさを見せられるのが、今年の特長だと思います。

──2人それぞれ、お互いがどんな選手かを教えてください。

高橋 北村さんはガードとして上からディフェンスに当たって、相手の得点源をしっかり抑えてくれる存在です。オフェンスでは安定したゲームコントロールをしてくれるので、僕も気持ちの良いタイミングでパスをもらってシュートを打てます。

北村 歩路はまさに『エース』という感じの選手ですね。大事な場面で、チームが流れに乗りたい場面で、3ポイントシュートやジャンプシュートを高確率で決めてくれます。僕が良いタイミングでパスを出しさえすれば全部決めてくれるぐらいの感覚で、2年生ですが頼もしいチームメートです。

──勝負は時の運とも言いますが、インターハイ予選で負けたのには理由があって、その部分でチームとして成長できたからウインターカップ予選ではリベンジできのだと思います。6月の敗因と今回の県予選の勝因はそれぞれ何だと思いますか。

北村 試合に甘く入ってしまって、第1クォーターに離されたことでリズムに乗れずに負けてしまいました。今はしっかり前から当たる激しいディフェンスに集中することで、自分たちのリズムを作れるようになっていると思います。ケガ人がいても言い訳にはせず、どんなメンバーだろうと絶対勝つという気持ちで戦いました。

高橋 僕も気持ちの部分が大きいと思っています。インターハイ予選はケガ人がいて、正直あまり良い練習ができていなかったんですけど、心のどこかで「何とかなるだろう」と思っていた部分があって、それが一番の敗因でした。その悔しさから「もう絶対に負けたくない」という気持ちを持って今回の試合に入れたので、良い試合ができたと思います。技術どうこうよりも気持ちの面で相手を上回ったのが大きいです。

高橋歩路

「やはりこのチームで日本一になりたいと思いました」

──インターハイ出場が途切れたことは大きなショックで、その悔しさをバネに頑張ってきたのだと思いますが、その悔しさが「頑張っても意味がない」みたいな気持ちになって、チームがバラバラになる恐れもあったと思います。2人はどんなアプローチでやってきましたか。

北村 インターハイ予選に出れないのは本当に悔しくて、チーム全体が良くない方向にいきかけました。そこでまず3年生が、最初は3冠とか公式戦全勝だった目標をウインターカップ優勝にして、「失敗したのがウインターカップじゃなくてまだ良かった」と気持ちを切り替えました。トップリーグには出られなかったのですが、ブロックリーグでインターハイ4強の北陸など強豪揃いのグループに入って、そこで全勝優勝してウインターカップに繋げていこうと頑張りました。チームで話し合うことを最優先して、まず3年生が一体となったのですが……。

高橋 そこで2年生としては結構思うところがあって。3年生がまず一つにまとまるのは分かるのですが、その時はどうしても「3年生だけで」みたいな雰囲気になってしまい、僕はそこがちょっと心に刺さるというか、自分たち下級生もチームなんだけどな、という思いがありました。それを3年生にぶつけたのが1カ月ぐらい前ですね。新潟県予選が始まるギリギリの時期でした。そこで3年生がすごく時間を取って僕らと話し合ってくれて、そこから本当にチームが良くなったと思います。

北村 僕たちも最初は「3年生でまずやろう」と取り組み始めて、それが良い感じに進んだことで、3年生だけになりすぎてしまいました。2年生から見たら「3年生だけでやっている」という感じに見えたと思うのですが、指摘されるまで気付かなかったです。3年生が責任を持ちながらも、2年生や1年生に共有することを大切にして、学年関係なく話し合う場を作りました。

──3年生がチームを良くするためにやっているのは分かるけど、アプローチが違うんじゃないか、という指摘ですよね。先輩にそれを言うのは、なかなか大変だったのでは?

高橋 すごく葛藤しました。本当に悩んで悩んで、最初はLINEで伝えたのですが、その文章を考えるのも3日ぐらいそのことしか考えないぐらい考えて。自分としても酷な時間だし、逃げ出したくなるような気持ちにもなりましたが、やはりこのチームで日本一になりたいと思いました。僕は2年生ですがエースとしてチームを勝たせる責任があります。そのためにここで声を上げるべきは自分だとも思って、勇気をもって言いました。

北村優太

「開志国際の特長、全員が楽しんでバスケをすること」

──ウインターカップが自分たちのバスケを全国でお披露目する場になります。勝ちたいのはもちろんだと思いますが、どんなバスケを見せたいですか。

北村 一番は開志国際の特長である、全員が楽しんでバスケをすることだと思っています。ウインターカップ予選の帝京長岡との試合もそうでしたが、ベンチも応援してくださる人たちも一緒になって盛り上がってバスケができました。全員が元気良く盛り上がって、そういう雰囲気をウインターカップでも出すことで勝っていきたいです。

高橋 僕もキャプテンと同じで、バスケを楽しんでプレーしたいです。それと今年の特長がアップテンポなバスケなので、そのスピード感で見ている人に楽しんでもらえたら良いなと思います。

──楽しいバスケにもいろいろある中で、どんなプレーができている時が盛り上がりますか。

高橋 強いディフェンスから速攻を出して、その中で3ポイントシュートを打って決めていくことでチームのリズムができていきます。そのリズムを感じ取ってもらいたいです。高校生ならではの速さというのは他のカテゴリーにはないと思うので、そのあたりを楽しんでもらえればと思います。

──ウインターカップで対戦してみたいチームはありますか。

北村 福岡大学附属大濠と試合をしてみたいです。キャプテンの榎木璃旺選手は中学の時からずっと対戦しているライバルのような存在なので、対戦が実現したら絶対に負けたくない気持ちがあります。

高橋 僕はできるなら出場全チームと対戦したいです(笑)。個人的に対戦したいのは東山の中村颯斗選手です。僕も中村選手とは中学から対戦していて、高校になってからもマッチアップしてきたので、対戦したら負けたくないですね。

──ウインターカップで個人としてどんなプレーを見せるか、意気込みを教えてください。

北村 僕は目立つプレーができるタイプではありませんが、スタッツに残らない部分を徹底します。キャプテンとして、そういう部分をまず自分がやることで、みんなを引っ張っていきたいです。そうやって泥臭い部分を頑張れば、このチームは歩路だったり他の選手が派手なプレーで盛り上げてくれます。自分は自分らしくチームに貢献していきます。

高橋 僕はこの1年間、得点を取ることだけに集中してやってきました。一試合一試合に集中して、必ずゲームハイの得点を取ることを目標にして頑張っていきます。