オーストラリアとの延長戦を落として3連敗
3人制バスケットボールの『3×3』ワールドカップは大会4日目、女子の日本代表が予選リーグの2試合を戦った。
フランス、スイスにすでに連敗を喫していた日本は、この日の2試合に勝つしか決勝トーナメント進出の望みはなかった。オーストラリア戦での立ち上がり、慎重に入った相手に対して日本はエンジン全開、プレーの強度で主導権を握る。伊集南のドライブを軸に、高さとフィジカルの不利にも臆さず仕掛け、ディフェンスでは果敢なダブルチームでプレッシャーを掛けた。
こうして5-2とスタートダッシュに成功するも、オーストラリアがドライブに対応すると得点が止まり、一度は逆転を許す。それでもシンプルなドライブでの仕掛けから合わせのプレーを増やすことで相手ディフェンスをかいくぐり、接戦へと持ち込んだ。
こうして点差が離れずに時間を消化し、16-16の同点で最後のポゼッションは日本。ただ、ここで有効な攻めができない。オーバータイムになってすぐ、宮下希保のチェックの上から放った2点シュートを決められ、16-18で接戦を落とした。
最終戦の相手はアンドラ。ここまで3連敗同士のチームが対戦することになったが、すべて大差で負けてきたアンドラと、強豪相手にすべて接戦を演じてきた日本では実力に差があった。ディフェンスでは1対1で容易に破られず、攻めではシュートタッチが悪い中でもスピードで振り切り、合わせのプレーでイージーシュートの機会を作り出して得点を伸ばしていく。
栗林未和がベンチに入れず、交代要員なしで3人の戦いを強いられたが、攻守において隙がなかった。宮下の2点シュートが決まって10-4と突き放し、ラスト2分間を無失点で切り抜けて17-5での快勝。それでも1勝3敗で、目標としていた決勝トーナメント進出は果たせなかった。
「今後は6人程度の候補選手に絞り、次のステップへ」
勝ったアンドラ戦は別として、フランス、スイス、オーストラリアとの試合はスコアも内容も接戦だった。高さとフィジカルの不利は現時点では十分に対策ができていたが、それだけに接戦をどう勝ちきるかの課題が残る。
ディレクターコーチとしてスタンドから戦いを見守ったトーステン・ロイブルは、接戦をことごとく落としたことをこう語る。「女子については特に、ワールドカップのような世界規模の大会に出るのが初めての選手たちばかりで、その点では確かに経験不足だった面は否めません。その経験不足からくるギリギリのところでの駆け引きがまだ未熟で、その未熟さこそが大会を通しての敗因だった」
「今回のワールカップまでにいろいろな大会に出場しながら、それぞれに選手の組み合わせを変え、日本チームの編成についていろいろと試してきました。今後はできるだけ早い時期に6人程度の候補選手に絞り、本格的な東京へ向けた強化のステップに入っていく」と、ここからは選手を試すのではなく絞り込んでいき、チームとしての練度を高めることに集中していく。
クラッチタイムの1本を決めきる個人の力が必要なのは間違いない。もう一つ気になったのは5人制以上に重要なアウトサイド、2点シュートの少なさ。成功数よりも試投数自体が少なく、ここで相手に圧力をかけられない分、日本の武器であるドライブへの対応に集中された感がある。
あと一息で世界の強豪にも勝てる位置に、今の日本はいる。だが、オリンピックまでのあと1年で他国はさらにレベルアップしてくるだろう。それ以上のペースで成長し、メダルを勝ち取るためには、今回の経験をいかに次の成長へと繋げるかが大事になる。