ラメロ・ボール&マイルズ・ブリッジズ

個々の選手のポテンシャルを見極められず迷走が続く

近年のホーネッツは勝利を模索してのロスター変更を繰り返してきました。スモールラインナップをメインにしたオフェンシブなチームから、マーク・ウィリアムズやニック・リチャーズのビッグマンを多数抱えたディフェンシブなチーム、そして昨シーズン途中から今オフにかけて、再びウイングが多いスモール気味ながらディフェンシブなチームへと、そのスタイルは転々と変わってきました。

それは中心選手であるべきラメロ・ボールが3シーズン連続でケガ続きで、軸が定まらないままのチーム作りが行われているからです。加えて昨シーズンは2023年ドラフト2位指名のブランドン・ミラーが55試合を欠場し、移籍してきたトレ・マンも69試合を欠場。ラメロ抜きのチーム作りすらも進みませんでした。

その間に積極的にトレードに動き、エース格のマイルズ・ブリッジズ、ディフェンス力の高いジョシュ・グリーン、昨年のドラフト6位ティジャン・サローンなど、ウイングの層は充実しました。さらに今年のドラフトでも4位でコン・クヌッペル、29位でリアム・マクニーリー、33位でシオン・ジェームズ、34位でライアン・カルクブレンナーと若手有望株をさらに増やしています。

その一方で2023年ドラフト27位のニック・スミスJr.をウェイブしています。スミスJr.は昨シーズン60試合に出場したにもかかわらず見切られており、欠場した選手や実績のない若手が優先されるのは不可解で、ホーネッツが個々の選手のポテンシャルを見極められない状況にあることを示しています。

この状況を打破するには、ラメロ中心でどのような戦術を作り、どのような個人能力が必要かを確立する必要があります。例えば昨シーズンは3ポイントシュートを多投するオフェンスへと変化しながら、成功率はリーグ28位の33.9%と低調でした。この戦術を継続するならばシュートの上手い選手が必要ですが、シュート力に頼らないならばドライブアタックからインサイドで得点を奪える選手を組み合わせる必要があります。

機動力のある選手が多く揃ったため、ハイプレッシャーのディフェンスを中心とした戦いも、トランジションを増やした点の取り合いを中心にした戦い方も可能で、豊富なウイング陣を活用して相手に応じて柔軟な対応をすることもできます。しかし、重要なことは目先の勝利を求めて中途半端にはならないことであり、目指すべきスタイルを決め、そのための基盤を作ることです。

ホーネッツは次の4年間で7つのドラフト1巡目指名権を保有しており、再建へと切り替えるチームからスター選手を獲得するトレードに打って出ることも、ケガの多いラメロに見切りをつけてチームを作り直すこともできます。戦術面でもロスター面でも様々な可能性を秘めているだけに、シーズン終了時には今は想像もつかない結末を迎えるかもしれません。