ニュービルと相手エースの激しい点取り合戦に
10月8日に開幕した『東アジアスーパーリーグ(EASL)』で、宇都宮ブレックスは台北富邦ブレーブスと敵地の台北和平籃球館で対戦した。オーバータイムまでもつれたが107-109で敗れ、白星スタートとはならなかった。
EASLでは外国籍選手が2名、アジア枠と帰化選手はそれぞれ1名までロスター登録でき、同時に最大3名までプレーできる。この試合、宇都宮は外国籍ロスターにD.J・ニュービルとアイザック・フォトゥを選択し、比江島慎、高島紳司、ニュービル、ギャビン・エドワーズ、フォトゥというラインナップでスタート。宇都宮は開始早々に軽やかなパスワークからフォトゥが連続得点を決め、高島の高い強度のディフェンスからターンオーバーを誘発して7-0のランと好スタートを切る。しかし、宇都宮は富邦のディフェンスがタイトになってくるとターンオーバーを連発し、このクォーターだけで7ターンオーバーが記録された。また、サンズなどでプレーした富邦のアーチ・グッドウィンに積極的にドライブを仕掛けられて、22-21と競ったスコアでこのクォーターを終える。
第2クォーターに入ると、宇都宮はスイッチディフェンスが上手く機能せず、相手にギャップを狙われて失点を許してしまう。しかしニュービルがドライブから得点を重ねてグッドウィンと得点を取り合い、リードチェンジを何度も繰り返していく。3点ビハインドで迎えたラストポゼッションはニュービルのパスを読んだグッドウィンにスティールから得点を決められ、46-51とビハインドを背負って前半を終了する。
ニュービルの引力を活用したプレーに課題
ハーフタイムにジーコ・コロネルヘッドコーチから「メンタリティを変えなくてはいけない」と喝を入れられた選手たちは、富邦の得点源であるグッドウィンにドライブレーンを与えず攻撃力を削ぎ落とすプレーを体現していく。攻めてはニュービルがこのクォーターだけで13得点を挙げてリードを奪い返す原動力に。最終クォーターに入ってもニュービルとグッドウィンの点取り合戦が続く中、宇都宮は残り1分9秒で4点のリードを奪っていたが、ターンオーバーから洪楷傑にフリースローを献上、さらに陳又瑋に起死回生のレイアップシュートを決められオーバータイムに突入した。
オーバータイムに入ると、宇都宮は富邦のMouhamed MBAYEのミドルジャンプシュートに苦しめられるが、比江島が3ポイントシュートやフローターショットなどを決め返していく。2点ビハインドで迎えた残り15秒、ニュービルが逆転の3ポイントシュートを狙うが決めきれず、残り3.9秒宇都宮ボールでリスタート。チームはこのショットもニュービルに託したが、リングに嫌われ敵地で悔しい敗戦となった。
ニュービルは32得点6リバウンド10アシストとエースとして攻撃を牽引したものの、グッドウィンと意地の張り合いのような試合展開になってしまった。鵤誠司がゲームコントロールをする場面もあったが、多くのシチュエーションでニュービルがハンドリングして攻めるというオフェンスに偏ってしまった印象。ニュービルの突破力や比江島の得点力が宇都宮の最大の武器であることは間違いないが、彼らの引力を利用したキックアウトプレーが増えれば、より効率的なオフェンスが構築できるはずだ。
この点で良い貢献を見せたのが40歳のベテラン竹内公輔。エドワーズがファウルトラブルに陥った時間帯の出場が主ではあったが、スクリーンを確実にセットしてニュービルのドライブレーンを確保すると、パッシングオフェンスではポジション取りを上手くこなしていた。さらに、オーバータイムの重要な局面では遠藤祐亮とダブルチームを仕掛けて比江島の連続得点をお膳立てするなど、スタッツに現れない活躍でチームを支えた。
宇都宮は次節、10月22日に韓国のソウルSKナイツとブレックスアリーナ(栃木県宇都宮市)で対戦。ティップオフは19時を予定している。