金銭面ではラプターズが有利だが、地元の76ersも浮上
今オフに契約最終年を破棄してフリーエージェントになることが濃厚なカイル・ラウリー。現在所属するラプターズは、東カンファレンス準決勝でキャバリアーズにスウィープ(0勝4敗)で敗れ、昨年に続いてキャブズの牙城を崩すことができなかった。
今シーズン最後のメディア取材を受けたラウリー自身も「僕は優勝したい」と発言。ラプターズはラウリーの残留を希望しており、最大限の条件を提示して慰留に努める方針だが、彼が揺れているのは間違いない。31歳という年齢を考えれば、残された時間は限られている。
そんな中、フィラデルフィア出身のラウリーが、地元セブンティシクサーズでのプレーに関心を示していると『Philadelphia Inquirer』が伝えた。ラウリーをラプターズに導いたのは、2013年までラプターズのGMを務め、現在はシクサーズのGMとして辣腕を振るうブライアン・コランジェロだ。両者は現在も良好な関係にある。
ただ、「優勝したい」と願うラウリーにとってシクサーズ行きは微妙な選択肢。『救世主』との呼び声が高い2016年ドラフト全体1位選手のベン・シモンズ、故障に苦しみながらも強烈なインパクトを残したピュアセンターのジョエル・エンビードなど、今後のNBAを担う逸材を擁してはいるが、優勝どころかプレーオフに進出するにもまだ数年の経験が必要だろう。
金銭面だけを考えれば、他チームよりも1年長い契約を提示できるラプターズが最も有利だ。もしラウリーがラプターズと再契約する場合は、最大で5年総額2億500万ドル(約234億円)という大型契約を結ぶことができる。マサイ・ウジーリGMもラウリーをフランチャイズプレーヤーとみなし、残留を優先事項と明言しているため、条件面では一番良い契約が提示されるはずだ。
問題なのは、デマー・デローザンとラウリーを中心とするチームに『明るい未来』があるかどうか。昨シーズンはカンファレンス決勝でキャブズと互角に渡り合ったが、今年は完敗に終わった。レブロン・ジェームズを擁するキャブズを超えるには、デローザンとラウリーの個のレベルアップはもちろん、サポーティングキャストの充実が欠かせない。
本当に優勝を最優先とするのであれば、すぐに優勝を狙えるチームに加わるべきだろう。ただ、その場合はラプターズに残れば手にできるであろう報酬を放棄することになる。