プレシーズン初戦で存在感を発揮「努力は惜しまない」

NBAの2025-26シーズンに向けた各チームのトレーニングキャンプが始まったばかりの中、セブンティシクサーズとニックスは早くもアブダビに移動してプレシーズンゲームを行った。まだチームバスケの完成度を問う段階ではなく、選手個々もベテランは顔見せ程度に留まる試合ではあったが、シクサーズのルーキー、VJ・エッジコムは両チームで誰よりも長い31分プレーし、14得点6リバウンド3アシストを記録。NBAプレーヤーとしての最初の一歩を良い形で踏み出した。

ジョエル・エンビードポール・ジョージが不在のラインナップで、エッジコムはタイリース・マクシーと組んで先発した。このバックコートコンビのスピードは公式戦でもシクサーズの武器となりそうだ。

やる気十分のエッジコムに、チームメートは率先してパスを回す。エッジコムはアピールの機会を存分に生かし、得点とアシストで気を吐いた。それでもスタッツ以上にアブダビのファンを沸かせたのは、ミッチェル・ロビンソンを相手にダンクを狙った場面だろう。

ロビンソンが待ち構えるリングに飛び込み、豪快に腕を振り下ろすダンクを狙う。跳躍力でロビンソンを超えるも、ブロックを狙うその手がボールをかすめたために惜しくもダンクは決まらなかった。それでもエッジコムの身体能力、そして強気な姿勢が凝縮されたプレーだった。

試合後のエッジコムは、このシーンについて「僕は誰かの上からダンクを叩き込むのが好きだ。決めれば最高の気分になれるから、これからも挑戦し続ける。相手が誰であろうと、チャンスがあれば狙っていくつもりだ」と語った。

「緊張しなかったとは言わない。でも夢が実現した喜びの方が大きかったよ。チームメート全員が僕を後押ししてくれた。みんなが上達するためのちょっとしたヒントやアドバイスをくれる」

「僕はチーム全員から学んでいる。エンビードやPG(ジョージ)もそうだ。彼らはNBAのスーパースターであり、僕がいずれそうなりたいと願うタイプの選手だ。時間はかかるかもしれないけど、努力は惜しまない。すべての小さな要素を積み重ねるつもりだし、幸運なことに彼らの経験を借りることもできるだろう。このリーグで実績のある選手は、僕らとは見ているものが違う。初めてNBAのコートに立った僕と、8年以上やっている選手に差があるのは当然のこと。だから僕はみんなから少しでも多くのものを学び取ろうと思うんだ」

契約問題で揺れたクエンティン・グライムズがクオリファイング・オファーを受け入れて残留が決まったことで、エッジコムはスタメン争いで一歩後退することになるだろうが、粗削りな才能を持つ彼は試合を重ねる中で成熟していくはずで、焦る必要はない。他にもユーロバスケットで活躍した2年目のアデム・ボナ、2ウェイ契約選手のドミニク・バーローも先発出場で良いパフォーマンスを見せた。シクサーズの将来は、彼らのような若手の成長に懸かっている。