飛躍のシーズンを期待されるも、スタートで出遅れる

トレイルブレイザーズの再建は思うように進まず、4シーズン連続でプレーオフ進出を逃しているが、昨シーズンにはデニ・アブディヤ、トゥマニ・カマラ、シェイドン・シャープの成長があり、チームは上向きに転じたように見える。

再建チームが35歳のドリュー・ホリデーデイミアン・リラードを補強するのは不条理にも見えるが、このチームに必要なのはリーダーシップでありカリスマ性だった。ホリデーは所属したすべてのチームを引き上げてきた。そしてポートランドでのリラードはGOAT級のカリスマ性を持つ。

カマラは25歳、アブディヤは24歳、シャープは22歳。これに3年目のスクート・ヘンダーソンと2年目のドノバン・クリンガンという21歳コンビを加えたラインナップが成長すれば、ブレイザーズは持続可能な強豪チームとなる。アンファニー・サイモンズとディアンドレ・エイトンを放出したが、戦力を整理したことで期待できる選手にプレータイムを与えられ、成長の幅が広がる。それをホリデーと、アキレス腱断裂で長期欠場中ではあるが存在感抜群のリラードがサポートするのが新シーズンのブレイザーズの形だ。

しかし、物事は思い通りに進まない。トレーニングキャンプ開始を翌週に控えて、ヘンダーソンが左ハムストリング断裂のケガを負って戦線離脱した。

ヘンダーソンはチームの練習施設でピックアップゲームを行っていた際にケガを負った。当初は軽傷かと思われたが、検査の結果は4週間から8週間の離脱。ハムストリングのケガは再発しやすいこともあり、復帰には慎重な判断が求められる。仮に離脱が8週間とすれば、開幕から15試合ほどを欠場する計算だ。

2023年のNBAドラフトで1巡目3位指名を受けたヘンダーソンはこの2年で13.3得点、3.1リバウンド、5.2アシストを記録。128試合に出場しているが、先発は42試合しかなく、ドラフト上位指名選手としては物足りなさが残る。1年目より2年目でスタッツを落としているのも不安要素だ。

それでも指揮官チャウンシー・ビラップスはヘンダーソンのリムへ向かう力強さを「他の選手にはない武器」と評価しており、ここ3シーズンで先発だったサイモンズを放出した分、ヘンダーソンがより多くのチャンスを得るはずだった。

ポイントガードのポジションにはリーグ屈指の実績を持つホリデーがおり、ヘンダーソンの離脱は『今だけ』を見れば大きな影響はないのかもしれない。しかし、経験豊富なホリデーとのチーム内競争はヘンダーソンの成長に大きく寄与するはずだったが、その大事なプレシーズンをリハビリに費やすことになるのは、チームにとってもヘンダーソン個人にとっても大きな痛手だ。

さらに言えば、ヘンダーソンへの期待はその爆発的な身体能力に基づくものもので、筋肉系のケガを再発したり、痛みを抱えながらのプレーを強いられるようになれば、彼への期待値は大幅に下がる。ヘンダーソンは、不完全燃焼に終わった最初の2シーズン以上に厳しい試練を迎えている。