「自分たちのためにすべてを投げ打ってくれた」
ラプターズとのNBAファイナル第5戦に辛勝し、なんとか踏みとどまったウォリアーズ。しかし、チームのためにと負傷を抱えた状態で強行出場したケビン・デュラントが、アキレス腱を負傷するアクシデントに見舞われた。
本来なら、今シーズンがラストイヤーとなる本拠地オラクル・アリーナでもう1試合できるチャンスを得たことを喜ぶべきなのだろうが、試合後の会見に出席した指揮官のスティーブ・カー、選手、GMの表情は暗かった。
GMのボブ・マイヤーズは、涙を堪え、声を絞り出すようにデュラントの負傷に関して説明し、彼に対する批判についても「フェアじゃない」と擁護した。ステフィン・カリーも、デュラントに対する批判について聞かれ、次のように述べた。
「彼のように素晴らしいレベルに達すれば、全員に叩かれるし、あらゆる話を伝えられて、人間性についてまで言われるようになる。どういう人間であるべきか、どういう決断をするべきかとか、繰り返し繰り返し言われる。そういうものなのだろうけれど、どういう人物か理解して、その人物がどれだけ純粋で、バスケットボールをプレーすることを楽しんで暮らしていることを知ったら、誰もがそういう選手のことを応援するようになる。ボブが言ったように、外見や、メディアへの発言があっても、彼を知っている人なら人間性については分かっている。どれだけ素晴らしい人か分かっている」
「その彼が、チームのために全力を尽くしてくれて、今回のような結果になってしまったら、色々な感情が込み上がってくる。このシリーズ云々の話じゃない。大事なのは、先々のこと。気持ちの部分だったり、選手としても人としても、今までと変わらない状態に回復できるかが大事」
デュラントは、今後のキャリアに影響を及ぼす可能性があるケガを負っても、試合後はファンとチームメートを鼓舞するようなメッセージをInstagramに投稿した。「第6戦では、Dubネーションが凄まじい応援をしてくれる。今は深く傷ついている。嘘は言わない。でも、兄弟たちが試合に勝った姿を見られて、テキーラのショットを飲み干したような気分さ。生まれ変わった気分だね」というチームメートからのメッセージを伝え聞いたカリーは「それこそ、ボブが言ったように、彼が誤解されているということ。彼にとって大事なのは、バスケットボールをプレーすること、良い人間であること、私心や欲がないこと。こんな状況なのに、彼はファンのみんなにも語りかけている。兄弟として、仲間として僕たちを勇気づけてくれている」と答えた。
6月13日の第6戦は、オラクル・アリーナで最後のNBA公式戦になる。だがウォリアーズの選手、コーチ、ファンは、デュラントに捧げる試合として考えているだろう。
カリーも、第5戦と同様に全力を尽くすと誓った。
「勝利を約束できれば良いのだろうけれど、どういう結果になるかは分からない。それでも、全力を尽くす。戦って、競い合う。次の試合までの今後2日で、彼と話ができればと思う。木曜にやるべき仕事に興奮している。ただ、自分たちのために全てを投げ打ってくれた彼のことを思うと、心が痛む」