荒削りながらも石川裕大が奮闘

9月18日よりシンガポール・インドア・スタジアム(シンガポール)で開催されている『FIBAインターコンチネンタルカップ2025』は、20日にグループリーグを終了。グループリーグ3位となった宇都宮ブレックスは、同21日に5位決定戦へ臨み69-93でイラワラ・ホークスに敗れて6位で大会を終えた。

本大会は、南米からフラメンゴ(ブラジル)、オセアニアからイラワラ・ホークス(オーストラリア)、ヨーロッパからウニカハ(スペイン)、アフリカからアルアハリSC(リビア)、北米からGリーグ選抜チームと各大陸の王者が集結し、クラブチーム世界一を決める大会だ。宇都宮は6月に行われた『BCL Asia 2025』で優勝し、アジア代表として出場していた。宇都宮はグループリーグでウニカハに68-97、アルアハリSCに78-87で敗れ、グループリーグを3位で終えて5位決定戦に回っていた。

宇都宮の先発は、比江島慎、竹内公輔、高島紳司、D.J・ニュービル、ギャビン・エドワーズで、グラント・ジェレットは欠場となった。対するホークスも得点源のタイラー・ハーヴェイと元NBAプレーヤーのジャベール・マギーは欠場で主力を互いに欠いた試合に。

宇都宮は開始から3ポイントシュートを中心としたオフェンスを展開するが、シュートはなかなか決まらない。そうなると比江島とニュービルの個人技に頼るスタイルになってしまい、2人がベンチに下がると攻め手を失ってしまう。ペイントアタックを仕掛けるためにピック&ロールを多用するが、ハンドラーとのギャップを生めず、スイッチしたディフェンス相手にもビッグマンは上手くペイントエリアに侵入することができず縦の動きを封じられてしまいイニシアチブを取れない。試合の前半ではあるが連戦の疲れなのかプレーヤーたちの足は重く、インテンシティレベルも上がらずに簡単なミスから得点を許してしまう。第2クォーターの中盤で比江島を再投入すると空気は変わり、宇都宮の得点が伸びるが27-52と得点差は大きいまま前半を終了する。

後半の出だしはペイントアタックが多くなり、キックアウトからの得点も増えるが、やはり比江島やニュービルがコートからいなくなると単調な3ポイントシュートが増えてしまい点差は縮められない。第4クォーターに入るとゾーンディフェンスを仕掛けるホークス相手に石川裕大がステップバックから3ポイントシュートを決める。これがきっかけとなって石川が思い切りよくプレーをし始めると、その後も3ポイントシュートを連続で決め、会場に駆けつけた宇都宮のファンを盛り上げさせる。これに引っ張られるように、これまでペイントアタックをしても消極的だった星川開聖が思い切りの良いドライブなどで得点を重ね、最終クォーターは27-21と唯一勝ち越すことができた。

石川は9本中5本の3ポイントシュートを決めて15得点を記録した。簡単なプレーでミスをしてしまい、約15分のプレータイムで4つのターンオーバーを記録したが、若手らしいプレーで輝きを放った。星川もエンジンがかかるまでは周りに遠慮をしているように見えたが、若手中心になった終盤では本来のプレースタイルを取り戻した。この大会を通じて各大陸の王者には勝つことはできなかったが、課題と収穫のある大会になったのではないだろうか。