昨シーズンの茨城ロボッツは1年を通して故障者に苦しみ、リーグ下位に沈んだ結果を含めて消化不良の1年となった。そのような状況下でもポジティブな材料となったのが中村功平のステップアップだ。在籍5年目の昨シーズンはレギュラーシーズン60試合にフル出場し、キャリアハイの平均9.8得点と2.7アシストを記録。今や茨城の中心選手となった中村に、新シーズンへの意気込みを聞いた。
「ボールを持ったほうが持ち味を出せる」
──昨シーズンはどんな1年でしたか。
難しいシーズンでした。ケガ人が多い中で「こういう戦い方をしよう」という方向性ができあがったと思ったらまたケガ人が出てしまい、新たなアジャストを余儀なくされることが何回もありました。ようやくチームが完成してきたな、というタイミングでシーズンが終わってしまった感覚です。ケガ人の影響で、主力選手のプレータイムが多くなり最後に疲れが出てしまいました。第4クォーターが1桁得点で終わってしまった試合が少なくなかったことが、それを示しています。ケガ人が出たことは致し方ないですが、シーズンを通して一つの完成されたチームでやり遂げたかった思いはあります。ただ、昨シーズンはこれまでの5シーズンで一番、練習中から細かい部分を突き詰めることができたと思っています。
──中村選手個人としては、キャリアハイのスタッツを残しました。その点に関して達成感はありますか。
スタッツではキャリアで一番の数字を出せましたが、そんなに満足はできていないです。強豪チームではエースと呼ばれる立ち位置の選手が、大事な場面で得点を決めています。自分は「チームのエース」と言われていたりもしますが、大事な場面でチームを勝たせる働きがまだまだできていません。今までももちろん頑張ってきましたが、さらにもう1段階上のプレーで勝利に導きたいという思いはより強くなりました。今シーズンもロボッツでプレーさせてもらえるので、ここ一番でしっかり活躍できるようにもう一度チャレンジしたいです。
──スタッツが伸びた要因は何だと思いますか。
今まではどちらかというと、自分はコーナーで待っていて、味方がアタックなどでマークマンを引きつけてくれたところでノーマークのキャッチ&シュートを打って、それが入ったらリズムに乗れるというプレースタイルでした。それがヘッドコーチがクリス(ホルム)に変わり、さらに長谷川暢選手が故障離脱したことをきっかけに、自分がボールハンドラーとして起点になるプレーが増えました。キャッチ&シュートだけでなく、ピック&ロールからのプルアップの3ポイントシュートやドライブからレイアップなど、自分で打開するプレーの幅が広がったと思います。練習から、井堀真緒アシスタントコーチとかなり細かい部分に取り組んだことが試合でもすごく生きました。
自分としてはボールを持ったほうが持ち味を出せると思っていますし、ハンドラーとしてのスキルは間違いなく上がったという手応えも感じました。シーズン終盤は、ボールタッチが増えたことで疲労を感じることもありましたが、やりがいも感じてプレーできていました。以前のシュートアテンプトが少なかった時は「このシュートを外したらどうしよう」という考えを持ってしまっていたのが、そういう余計なことを考えず無心で、自信を持ってコートに立てていたのは良かったと思います。
「自分たちがクリスをもっと勝たせたい」
──元々、ハンドラーとしてプレーできる手応えは持っていましたか。
学生の時はハンドラーだったので自信はありました。さらに、今シーズンはハンドラー役の暢が復帰します。彼がいるとペースが上がるので、彼の持ち味を生かせるようにコートバランスを取りつつ、ディフェンスが収縮したときはしっかりとシュートを決め切りたいです。
──長谷川選手の戦線復帰に加え、ベテランの小島元基選手が新たな司令塔として加入しました。
元基さんはアルバルク東京、サンロッカーズ渋谷という強豪クラブに在籍して、多くの勝利を経験しています。ロボッツはここまでなかなか勝てていないので、これまでの在籍クラブと違いがあったら教えてもらいたいです。練習を見ていてもすごく落ち着いてプレーをしているので、元基さんのレベルに合わせられる賢いオフェンス、ディフェンスをやっていきたいです。
──中村選手のステップアップに大きな影響を与えたホルムヘッドコーチは今シーズンも指揮を執ります。中村選手にとって彼はどんなコーチですか。
まず、めちゃめちゃ良い人です。フレンドリーでコミュニケーションを取りやすく、試合後はクリスから選手に意見を聞きにきてくれます。昨シーズンはヘッドコーチ1年目で大変なこともあったと思いますが、みんな彼のことを慕っていますし、今シーズンは自分たちがクリスをもっと勝たせたいという気持ちです。