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後がないラプターズ、最大16点差を覆す粘りの戦い

キャバリアーズとラプターズのプレーオフ第4戦。終盤にレブロン・ジェームズとカイリー・アービングの個人技が炸裂したキャブズがラプターズを下し、カンファレンスファイナル進出を決めた。

28-28と同点で迎えた第2クォーター中盤、キャブズが攻勢に出る。1点ビハインドの場面でトランジションからケビン・ラブの3ポイントシュートが決まり逆転。直後のディフェンスでデロン・ウィリアムズがボールをスティールすると、そこから走ったアービングが3ポイントシュートを決めて42-37とリードを広げた。

キャブズはトランジションバスケでラプターズを振り回し、ローテーションのミスを誘ってノーマークを作っていく。レブロンのペネトレイトを軸に、3本の3ポイントシュートを沈めたカイル・コーバーの活躍もあり61-49と2桁のリードを奪って前半を終えた。

だが、後半に入ると1対1で守りきれるようにアジャストされ、ラブとアービングがエアボールを打たされるなどラプターズにディフェンスからペースをつかまれる。サージ・イバカやコーリー・ジョセフの得点、残り1秒でのPJ・タッカーの3ポイントシュートを許し、85-80まで追い上げられて第3クォーターを終えた。

第4クォーターもラプターズの勢いは持続し、残り6分38秒、ラブのファウルを受けながらジャンプショットを沈めたイバカにボーナススローも決められ、92-93と逆転を許した。

それでも王者キャブズはここから踏ん張りを見せる。直後のオフェンス、アービングがショットクロックわずかな場面からステップバックの3ポイントシュートを沈め、悪い流れを払拭した。

レブロンとアービング、勝負どころで『個の力』が炸裂

勝負どころを迎え両チームともにディフェンスのプレッシャーを強め、互いにパスが回らなくなり最後は1on1のオフェンスセレクションとなっていく。こうなるとキャブズの『個』が生きる。ラプターズはエースのデマー・デローザンにボールを集めるが、レブロンの徹底マークによりタフショットを打たされ、得点が止まる。

一方キャブズはアービングのアイソレーションを選択。最低でもフリースローを獲得し、卓越したボールハンドリングからの高速ドライブでゴールを重ねていく。逆転の3ポイントシュートから連続11得点を奪い、再びラプターズを突き放した。

残り2分52秒、時間をコントロールしながらオフェンスを組み立てるキャブズは、ショットクロックのブザーと同時にレブロンが3ポイントシュートを沈め、106-95とリードを2桁に乗せた。その後も試合をコントロールしたキャブズが109-102で勝利。4連勝でカンファレンス決勝へと駒を進めた。

レブロン・ジェームズは14年のNBAキャリアで9回目のカンファレンス決勝進出。「この数字は自分が勝ち取ったもの」と胸を張る。プレーオフで6試合連続の30得点超えは、2010年のコービー・ブライアント以来の記録となる。また、クラッチタイムで勝利を引き寄せる働きを見せたアービングは27得点。「今日の試合に勝って休養を取ることが重要だと考えていた」と、狙い通りのスウィープを決めたことに満足げな表情を見せた。

働くべきタレントがしっかりと仕事をしたことに加え、4本の3ポイントシュートを含む18得点をベンチから挙げたコーバーの存在感も際立っている。ペイサーズに続きラプターズをスウィープしたキャブズは、プレーオフに入ってから8連勝と前年王者の力を見せつけている。

東カンファレンス決勝は、2勝2敗と熱戦が続くセルティックスとウィザーズの勝者と戦うことになる。