「ロスターを動かすタイミングは慎重にならないと」
昨シーズン、ピストンズは勝ち星を前年の14勝から44勝に伸ばし、2018-19シーズン以来のプレーオフ出場を果たした。大方の予想を裏切る躍進をもたらした功労者が、ゼネラルマネジャーのトラジャン・ラングトンだ。
昨年オフ、同職に就任したラングトンは早速、就任1年目を終えたばかりのモンティ・ウィリアムズヘッドコーチを解任する荒療治を実施。前任者が選んだとはいえ、サンズでファイナル進出など確かな実績を残し、6年総額110億円の大型契約で結んだ大物コーチにわずか1年で見切りをつけた判断には批判的な声が多かった。だが、キャバリアーズを解任されたJ.B・ビッカースタッフを新ヘッドコーチに招聘し冒頭の快進撃を達成。ラングトンの大改革によってチームが上向いたのは間違いない。
今のピストンズは、リーグ屈指の若手ガードであるケイド・カニングハムを筆頭にアサー・トンプソン、ジェイデン・アイビー、ジェイレン・デューレンといった複数の若手有望株を有している。フランチャイズプレーヤーのカニングハムは絶対に放出されないだろうが、さらなる飛躍を目指して他の若手選手を交換し、即戦力を獲得するのはNBA全体でよく行われている補強手段だ。
しかし、ラングトンは現状、若手の主力選手たちをキープする考えだ。『The Athletic』の取材に対しラングトンは「若手の限界がどこにあるのか見極めたい。彼らを試合で起用して、このまま成長して潜在能力を発揮するための手助けをしていきたい」と語り、今は若手の育成に注力していると続ける。
「チームを常に進化させていきたいが、ロスターを動かすタイミングは慎重にならないといけない。選手たちには少なくとも、それぞれの能力の限界近くまで成長してほしい。そうなったとき、チームにフィットする選手がはっきりし、本当にチームが動くタイミングとなるだろう」
若手コアメンバーを維持し、彼らのさらなる成長を見守る方針のピストンズは、今シーズンもプレーオフ出場を果たし、ステップアップを続けることができるのか。チーム編成を担うラングトンの舵取りにも注目していきたい。