
「完璧なタイミングで復帰できたと思っている」
トレイルブレイザーズに復帰したデイミアン・リラードが会見を開いた。2年前に彼を放出し、そして呼び戻したジョー・クローニンGMは「デイミアンが別のユニフォームを着ているのにずっと違和感があった。こうして赤と黒のユニフォームを再び着せることができてうれしい」と、満面の笑みでリラードを紹介した。
リラードは「僕自身も『家』にいないことに違和感があった。いろいろあったけど、復帰の道が開けたことに感謝している。ケガをしている僕にドアを開いてくれたことに心から感謝している」と語る。
2023年のオフ、リラードはNBAデビューから11シーズンを過ごしたブレイザーズにトレード要求を突き付けた。それは彼の身勝手ではなく、長年の貢献を評価すると言いながら相棒のCJ・マッカラムを始めとする主力を放出し、実質的に再建を進めるフロントとの関係が悪化した結果だった。ブレイザーズはリラードの希望するヒートへのトレードを拒み、バックスへと彼を送った。リラードはヤニス・アデトクンボとのコンビでNBA優勝を目指すも、1年目はアデトクンボのケガで、2年目の昨シーズンはリラードがアキレス腱を断裂するという悲劇に見舞われ、目標は果たせなかった。
リラードは35歳になり、ケガで1年はプレーできない。ここからNBA優勝を勝ち取るのは極めて困難だ。ブレイザーズもまた2年間で再建が成果を挙げないまま、このオフを迎えている。両者ともに失望すべき状況にあるが、お互いに欠けていたピースを取り戻した感があるのは、リラードとブレイザーズの結び付きがそれだけ強いからだろう。
「ここへの復帰は僕にとって大きな意味を持つ」とリラードは語る。「キャリアにおける決断は常に難しく、すぐに答えは出せないものだけど、今回はすぐに決断できた。戻って来られたことにただ感謝している。完璧なタイミングで復帰できたと思っている」

「その時にはもう『絶対に復帰する』と思っていた」
リラードにとって初めての移籍は、家族と初めて離れて暮らすことを意味していた。傷付いた今の彼に最も必要なのは、子供たちとの平穏な暮らしだ。「実際に契約書にサインするまで、子供たちには何も伝えていなかった。子供たちを車に乗せて家に帰る途中、赤信号で止まった時に復帰を伝えた。娘は『じゃあもうミルウォーキー行きの飛行機に乗らなくていいの? ポートランドの家にずっといるの?』と尋ねた。そうだよと伝えると、みんなとても喜んでくれた」
それは彼にとっても特別な瞬間だった。「僕は感情をあまり表に出すタイプじゃない。でもあの瞬間は、子供たちと一緒にいられることだけでなく、自分が慣れ親しんだ場所で車を運転していることに感情がこみ上げた。不運な出来事もあったけど、僕は欲しかったものを手に入れたんだ」
ただ、彼は安穏な暮らしのために戻って来たわけではない。ブレイザーズの一員としてチームの勝利に貢献するつもりだ。「プレーはできなくてもチームと行動をともにし、良い影響を与えたい。僕のようなベテランは若手に教えられることが多い。アシスタントコーチのような仕事かもしれないが、プレーしている時と変わらない時間とエネルギーを注ぐつもりだ」
「ブレイザーズの試合はたくさん見ていた。バックスで自分の試合を終えて家に帰ると、ちょうど西カンファレンスの試合が始まるタイミングで、ブレイザーズの試合を見ることが多かったし、注意深く観察していた。復帰はあり得ないと思っていても『自分のチーム』という気持ちで試合を追っていた」
2025-26シーズン中の復帰については、フロントも彼自身もその可能性を積極的に追いかけはしないと明言する。クローニンGMは「1秒たりとも急ぎはしない」と断言し、リラードは「昔はプライドが高くて違うことを考えただろうが、年齢を重ねると賢くなる。じっくり時間をかけて万全のコンディションを取り戻したい」と静かに語る。
ただ、そこには確かな熱意がある。「アキレス腱断裂の瞬間、僕はコートに座り込んで、足首をつかんで仰向けに倒れた。その時にはもう『絶対に復帰する』と思っていたよ。アキレス腱断裂の診断が下った時、スタッフは泣きそうだったけど、僕は全然だった。それはプライドからではなく、心が自動的に『戦う』という方向に切り替わっていたんだ」
リラードは静かに、しかし力強くこう続けた。「長い道のりになるし、難しい挑戦なのは分かっているけど、自分を哀れんだりはしない。今回のケガはキャリアで最も重いものだけど、精神的な戦いなら僕は負けない。絶対に負けないんだ」