ブラッドリー・ビール獲得交渉にはハーデンも参加
今オフのクリッパーズは積極的な補強で陣容が大きく変わった。ローレンス・フランク球団社長はオンラインで会見を開き、ブラッドリー・ビール獲得を軸にした補強の意図とチームへの期待を語った。
フランク球団社長によれば、ビール獲得は過去に2度試みており、今回が『3度目の正直』だという。今オフは「市場に出てくるとは予想しなかった」が、ハンドリングとプレーメーク、シュート力をもたらすビールを高く評価しており、サンズとの契約バイアウトの噂を聞きつけるとすぐに動いた。
ビールはすでに若くなく、ケガの影響でプレーの強度も保てなくなり、サンズ不振の戦犯として評価を落としているが、クリッパーズはまた違った見方をしている。周囲の才能を引き出すジェームズ・ハーデンの力に絶対的な信頼を寄せ、「昨シーズンはノーマン(パウエル)とズー(イビチャ・ズバッツ)がオールスター級の活躍をして、その前年にはPG(ポール・ジョージ)がそうだった。さらにその前はジョエル・エンビードをMVPにした。ジェームズは司令塔として、自分を犠牲にしてもチームメートを活躍させる」とフランク球団社長は言う。
そのハーデンは、ビール獲得に際しても大きな働きを見せた。代理人と交渉する中で、ビールが不安に思う点については「本人と直接話すように」というアプローチをクリッパーズは採った。ハーデンはビールの代理人と電話で長時間のやり取りを交わし、クリッパーズを選んだ時にビールがどんなプレーをするのか事細かに説明したという。他にもオーナーのスティーブ・バルマー、ヘッドコーチのタロン・ルーが交渉に参加した。
ビールにとって必要なのは優勝争いのできる環境であると同時に、自分を理解して持ち味を引き出してくれる環境だ。クリッパーズの誠意ある対応で、彼は安心して契約を結ぶことができた。
他にもブルック・ロペスとジョン・コリンズを獲得。チームとしての狙いは層を厚くし、プレーに多様性をもたらすことだ。絶対的な司令塔であるハーデンがいて、ビールがプレーメークと得点をもたらし、ベンチからはボグダン・ボグダノビッチがハンドリングとシュート力を、クリス・ダンが守備のハードワークを提供する。ロペスの獲得でズバッツと合わせて48分間のリムプロテクトを確保。カワイ・レナードとデリック・ジョーンズJr.が3番と4番で、ジョン・コリンズが4番と5番でプレーできることで、常にサイズと身体能力のある選手起用ができるとフランク球団社長は胸を張る。
選手が多すぎるとチーム内競争の過熱から不和に繋がるケースはあるが、クリッパーズでは問題にならないと説明する。「大事なのは役割で、どの選手にもしっかり説明し、先入観や誤解が生まれないようにしている。現状で10人のローテーションになるが、どのチームもトップの10人が全員揃う機会はシーズンを通して21試合から25試合しかなく、全員がチームに貢献することが必要だ」
そして今、クリッパーズは最後の仕上げとしてクリス・ポール獲得に動いている。フランク球団社長は経過についての説明を避けたが、「強く、強く検討しているのは事実だ」と語った。
1年前にはポール・ジョージに見限られ、限界かと見られたクリッパーズは、再建を経ることなく見事な再生を果たした。フランク球団社長は力強くこう語った。「西カンファレンスの競争は激しいが、このチームが最高のチャンスを得られるようすべての可能性を試す。このチームの可能性にとても興奮しているよ」