文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

後半に入り、オフェンスの歯車が狂い始めたSR渋谷

サンロッカーズ渋谷と富山グラウジーズの第2戦。第1戦で終盤に逆転負けを喫した富山だが、今日の試合では粘り強いディフェンスを最後まで続け、シーズンハイの27得点を挙げたドリュー・ヴァイニーの活躍も重なり、76-72で逃げ切った。

序盤はSR渋谷がリードする。ペイントエリアでの得点で先行すると、インサイドアウトの形がスムーズに決まるようになり、19-12で第1クォーターを終えた。

しかし、第2クォーターに入ると今度はオン・ザ・コート「2」になった富山がペースをつかんだ。ヴァイニーがこの10分間で3ポイントシュート2本を含む15得点を挙げて反撃。果敢さが時には裏目に出てターンオーバーがかさむも、サム・ウィラードが5つのオフェンスリバウンドを奪い、反撃の土台を作った。富山が36-37と1点差まで追い上げて前半が終了する。

後半に入ると富山がアグレッシブなディフェンスから逆転に成功する。SR渋谷がインサイドにボールを入れると、積極的にダブルチームに行って自由を与えない。起点を潰し、リターンパスを奪い取っては速攻を繰り出した。ゾーンとマンツーマンを併用する富山ディフェンスの前に、SR渋谷のフィールドゴールは、6分間でベンドラメ礼生の3ポイントシュート1本のみと停滞する。

残り1分56秒、ウィラードがオフェンスリバウンドからゴール下のシュートを決めて、57-47とリードを2桁に乗せた。ただ、SR渋谷もただやられていたわけではなく、富山の堅守に手こずりながらも第3クォーターだけで7つのオフェンスリバウンドを奪って食い下がり、アールティー・グインの2本の3ポイントシュートで5点差まで詰め寄った。

両チームともに得点が伸びない終盤、ヴァイニーの働き

最終クォーター残り8分3秒、特別指定選手ながらすっかり主力に定着した感のある小原翼がアイラ・ブラウンへのシュートファウルを犯し、ファウルトラブル(個人4つ目)でコートを去る。このフリースロー2本を決められ61-56と5点差に。だが直後のポゼッションでヴァイニーが3ポイントシュートを決めて突き放し、小原に代わって入った比留木謙司が苦しい時間帯をつなぐ。

どちらも点の入らない展開。富山はヴァイニー頼みになってしまい約5分間無得点が続く。それでも守備は容易に崩されず、SR渋谷のオフェンスを停滞させる。ただフィニッシュのところでファウルがかさみ、フリースローで次第に差を詰められていく。

残り56秒にロバート・サクレに2本のフリースローを決められ67-70と1ポゼッション差に。しかし、直後のオフェンスでヴァイニーがビッグプレーを見せる。強気に放ったシュートが外れるも、自らリバウンドを拾い、窮屈な体勢からそのままリバースレイアップをねじ込んだ。残り32秒、72-67と2ポゼッション差に広げる大きな一発だった。

SR渋谷はまだあきらめず、清水太志郎の3ポイントシュートとアイラ・ブラウンのダンクで1点差まで詰め寄ったものの、ファウルゲームを乗り切った富山が76-72で逃げ切り、前日のリベンジを果たした。

打開策を見いだせなかったBTテーブス「私の責任」

富山のボブ・ナッシュヘッドコーチは「トランジションバスケットを制限し、ペネトレーションに対し中に入れさせない、リバウンド争いを制する努力をする、という3つのゲームプランを最後までできた」と勝因を語った。

「彼らのリズムを乱すことができれば、という意味でチェンジングディフェンスを使ったが効果的だった」と言うように、ゾーンとマンツーマンディフェンスを併用し、終盤にSR渋谷の勢いを削いだ『用兵の妙』が光った。

敗れたBTテーブスヘッドコーチは「アップダウンの多いゲームでした」と試合を振り返りつつも、その中で「最後までオフェンスが良くならなかったことだけは一定していた」とオフェンスの修正ができなかったことを敗因に挙げた。

「インサイドに攻撃が集中しすぎてボールが止まってしまい、動きが止まって流れがなくなった」と理由は明確。それでも改善できず敗れた結果に、「私の責任」と神妙な面持ちで語った。また「ヴァイニー選手を1対1で止められなかった」と言うように、要所でヴァイニーに得点を許したのも痛手だった。

5得点と不発に終わった広瀬健太は「自分たちのペースがつかめないまま最後の最後まで竸った状態になってしまった。エナジーが足りなかった」と試合を振り返った。

レギュラーシーズンも残り3試合と佳境を迎えたBリーグ。チャンピオンシップ出場を決めたSR渋谷は、西地区2位の三遠ネオフェニックスを1ゲーム差で追う状況。富山も残留プレーオフ回避のために、滋賀レイクスターズと秋田ノーザンハピネッツを1ゲーム差で追いかける状況。最後まで順位が絡む大事な試合が続く。