ドレイモンド・グリーン

ディフェンス合戦の延長戦、『デイム・タイム』を封じる

西カンファレンス・ファイナルはウォリアーズがトレイルブレイザーズに4連勝、スウィープで5年連続となるNBAファイナル進出を決めた。

この試合、ウォリアーズでは故障離脱したケビン・デュラントの穴を埋めていたベテランのアンドレ・イグダーラが欠場。アルフォンソ・マッキーニーがプレーオフで初めて先発を務めた。立ち上がりはそのマッキーニーが得点を重ねるなど、両チームともにオフェンスがディフェンスを上回る、プレーオフでは珍しい打ち合いの展開に。序盤こそ高い位置から思い切ったダブルチームを仕掛けるウォリアーズの奇襲がハマるも、セカンドユニットの時間帯に支えきれず。その後はブレイザーズに主導権を握られ、第3クォーター終盤には最大17点のビハインドを背負った。

それでもブレイザーズも満身創痍で、最終クォーターに入ると失速。残り5分、ステフィン・カリーのタッチダウンパスを受けたドレイモンド・グリーン、続いて左ウイングから鮮やかなドライブでブレイザーズ守備陣の裏を取ったカリーと、イージーレイアップ2連発でウォリアーズが追いつく。

この頃には序盤の打ち合いの展開とは全く逆、両チームともに100%の集中で緩みのないディフェンスを続けることに。ラスト4分で両チームとも5点ずつしか取れず、111-111で試合はオーバータイムへと突入した。

延長に入っても決定打が出ない引き締まったディフェンス合戦が続くが、均衡を破ったのは伏兵グリーンだった。激しいプレッシャーを受けてスムーズに攻められず、ボールを持つカリーがダブルチームを受け、クレイ・トンプソンへのパスコースも切られた状況、仕方なくボールを預けたグリーンがショットクロックのない中で放った3ポイントシュートを沈めたのだ。グリーンを『伏兵』と呼んでは失礼かもしれないが、この試合で彼が放った3ポイントシュートは3本で、成功はこの1本だけ。ブレイザーズのディフェンスが上回ったシチュエーションだったが、そのシュートをねじ込むことで大一番での勝利をぐっと引き寄せた。

ブレイザーズも粘りを見せ、エースのデイミアン・リラードが単独突破から2点を返し、117-119と2点差に迫る。続くディフェンスでは、スイッチしてステフとセスのカリー兄弟の1on1が実現。決められたら終わりの状況、セスはかわされながらも食らいついてステフのフローターを落とさせる。残り12秒からのオフェンス、リラードのアタックはグリーンとトンプソンに挟み込まれるディフェンスで止められるも、残り3.3秒でのリスタートが残った。

最後を託すのはやはりリラード。鋭いダッシュでマークにつくトンプソンを一瞬振り切ってボールを受けたリラードが放った3ポイントシュートは、リムの手前に当たって落ち、ここで試合終了のブザー。119-117でウォリアーズがスウィープ(4勝0敗)での勝ち上がりを決めた。

グリーンは18得点14リバウンド11アシスト、カリーは37得点12リバウンド11アシストと、2人揃ってトリプル・ダブルを記録。また17得点とスタッツは伸びなかったトンプソンも、クラッチタイムのリラードのマークをほぼ一手に担い、『デイム・タイム』を封じた貢献は大きい。

デマーカス・カズンズとデュラントが故障離脱、イグダーラを休ませた試合でも、ウォリアーズは総合力で上回った。早々にファイナル進出を決め、東カンファレンスの勝者を待つ。