舘山萌菜

初のA代表「世代別とは重み、覚悟も違います」

女子日本代表は6月7日、チャイニーズ・タイペイ代表との試合にで95-42の快勝を収めた。格下の相手に対して第1クォーターから2桁のリードを奪った日本代表は、プレータイムをシェアし、今回が初のA代表となる若手も多くの出番を得た。

コーリー・ゲインズは「基本的にオフェンスは5アウトのポジションレスで、リード&リアクトを大切にする。ペースとスペースが大事となります」と、自身の日本代表が目指すスタイルを語る。その理想として「カット、バックカット、スクリーン、ダイブなどペイサーズをお手本に、常に動くオフェンスをやりたい」と、現在NBAファイナルを戦うペイサーズを挙げていた。

ポジションレスの代表的な例としてこの試合では、本職がポイントガードではない今野紀花や東藤なな子がボールプッシュを行う場面も目立った。また、3ポイントシュートを合計41本放つなど、5アウトの布陣でポジションを問わず打っていくオフェンスを遂行した。

指揮官ゲインズの挙げたカットなど、オフボールの動きで存在感を放ったのが舘山萌菜だった。177cmのサイズと機動力を備えたウイングは、8得点2リバウンド3スティールを記録。22歳の舘山は札幌山の手から白鷗大に進むと、直近2シーズンのインカレ連覇に貢献。またWリーグの後半戦にアーリーエントリーで日立ハイテクに加わると、すぐに主力として活躍し、今回のフル代表デビューと着実にステップアップしている伸び盛りの新星だ。

U19女子ワールドカップ、ユニバーシアードと世代別の代表を経験してきた舘山が、今回はA代表として初の実戦となった。「いろいろなカテゴリーで日本代表をやらせてもらってきましたが、A代表はトップで今まで着ていた世代別のユニフォームとは重み、覚悟も違います」と語る。それでも「チームの方たちが良い雰囲気を作ってくれたのであまり緊張せず、挑戦しようという気持ちで臨めました」と平常心でプレーできた。

そして自身のプレーをこう振り返る。「ディフェンスから入ろうと思っていて、そこは自分らしくエネルギーを出せたと思っています。今日はカットの動きなどから得点を取れましたが、3ポイントシュートを1本しか打てていなかったので、もっと動いてスペースを見つけて、自分のシュートチャンスを作れるようにしていきたいです」

舘山萌菜

「課題をしっかり持ち帰って、自分の成長に繋げたい」

この試合でも目立ったカットの動きについて、舘山は「自分の強みだと思っています」と持ち味として大切にし、次のようなプラス効果を意識している。

「カットすることで自分がノーマークになるだけでなく、ディフェンスを引き付けることで外にいるシューターがノーマークになることを助けるのも戦術の一つです。いつ仕掛けのか、適切なタイミングを自分は分かっていると思っています。あとはスペースや誰が外のポジションにいるのかを見ての判断力をもっと上げていきたいです」

また舘山は、改善ポイントに挙げている判断力について、百戦錬磨のベテラン選手たちから学べるものが大きいと続ける。「練習の取り組み方、準備のところなどで学ぶところがありますし、皆さん状況判断が本当に優れています。自分にはないものなので、そこはたくさん見て勉強したいです」

3ポイントシュート重視である女子代表のスタイル、かつウイングというポジションから見て、本人も言及したように3ポイントシュートの試投数が1本なのは物足りない。だが、積極的なドライブに加え、効果的なカットによる得点は他の選手にはない特徴で、今日の試合では彼女ならではのアクセントをオフェンスに加えることができた。

この試合の出場メンバーたちの直近の目標は、来月に行われる女子アジアカップの12名入りだ。「まだまだ足りない部分がありますが、12名を決めるまでには時間があります。今、ここで経験したことで得た課題をしっかり持ち帰って、自分の成長に繋げて12名に入りたいです」

このように初代表でも頼もしい野心を持っている舘山が、際立つ個性を生かしどこまでアピールできるのか。明日の強化試合も楽しみだ。