脇真大

「何回も言っていますが大事なのはチームファースト」

5月30日に『B.LEAGUE AWARD SHOW 2024-25』が行われ、琉球ゴールデンキングス脇真大は新人賞を受賞した。今シーズンの脇は開幕から持ち味であるフィジカルの強さを生かした迫力満点のドライブと激しいディフェンスで琉球の主力として活躍し、先発49試合を含む全60試合出場で平均21分29秒出場、7.3得点、3.2リバウンド、2.0アシストを記録した。

チャンピオンシップでは、レギュラーシーズン終盤に戦線離脱した岸本隆一に代わり先発ポイントガードを務め、8試合で平均27分9秒出場、10.6得点、2.8リバウンド、3.8アシストをマーク。琉球の4年連続ファイナル進出に大きく貢献した。

1シーズンを通しての活躍という面において、他のルーキーを大きく上回るパフォーマンスを披露した脇は、「率直にうれしいです。こういう賞はキャリアの中でも今しかありません。そして選ばれたのはチームのおかげだと思っています」と受賞の喜びを語る。

そして、シーズンを次のように総括する。「特別指定で加入した昨シーズンはケガをしてしまいました。僕自身、ケガなく全試合出場で終えられたことが一番良かったと思います。最初の方はがむしゃらにやっていて、Bリーグは本当にレベルが高いと肌で感じてながらやっていました。中盤戦から後半戦にかけて、リーグのレベルに慣れてきたところで自分のプレーが明確にできてきました。そして僕の強みを最大限に生かすプレーをコーチ陣が出してくれ、サポートしてくれたチームメートにも感謝しています」

昨シーズンの脇は特別指定で途中から加入するも2月に左肩関節脱臼の重傷を負い、出場わずか7試合。チャンピオンシップはベンチで見守るしかなかった。しかし、今シーズンは、チームの中心として大舞台でも活躍した。

ファイナルのゲーム3、タイトルの行方を左右する最終盤でコートに立てたことに大きな充実感はあった。ただ、そういった手応えよりも大きいのは、あと一歩で頂点を逃した悔しさだ。「何回も言っていますが大事なのはチームファーストです。自分がいくら活躍しても勝たないと……。だから、このファイナルは本当に悔しいの一言しか浮かんでこない。終わってしまったことですけど、この悔しさは常に頭の片隅に置いておいて、絶対に忘れてはいけないです」

脇真大

苦手の3ポイントも「打たないことには意味がない」

チャンピオンシップでの大舞台、脇は岸本の代役として中学時代以来となるポイントガードをこなしてきた。大きなプレッシャーがかかる中でも「この状況を楽しまないとうまくいかない」という強靭なメンタルでプレーし、見事な活躍を続けてきた。

だが、最後の最後で、メンタルにブレが生まれてしまったと振り返る。「ファイナルゲーム3の時も楽しめていましたが、やっぱり勝ちたい気持ちで急いでしまい、最後に僕のやりたいバスケットボールができませんでした。一番大事な純粋にバスケットを楽しむことを置き去りにし、勝ちたい欲が強く出て空回りし、上手くいかなった部分がありました。相手のスカウティングに対して瞬時に判断できず、勝ちたい欲が出すぎて固くなってしまった。そこで楽しめていれば、ゲーム1、ゲーム2と同じようにプレーできていた。そこは僕自身、悔いが残ります」

さらなるステップアップのために脇が課題として挙げるのは、シーズン当初から言及している3ポイントシュートの精度向上だ。実際、30%以下の成功率と厳しい数字となっているが、ファイナルゲーム3など、打つべきタイミングでしっかりと打ち切れたのはポジティブな材料だ。

脇も「逆に打たなかったら交代だと思います」と語る。「ウチのリバウンドがこんなに強いのに、良いパスをもらってなんで打たないんだとなります。打ち切るマインドセットは常にできていました」

ただ、決められなかった現実をしっかりと受け止める。「3ポイントは苦手と言っていますが、打たないことには意味がない。コーチ陣にも『入るか入らないかは打たないと分からない』と言ってもらっています。空いたら打つと決めてチャンピオンシップに臨んでいましたが、一本も決められなかった。そこは悔しいですし、3ポイントは自分が成長するために必要なものです」

誰もが評価するルーキーシーズンを終え、新人賞を受賞したこの日も脇は、「悔しい」と何度も繰り返した。このリベンジを果たすため彼は、次の決意を語っている。

「山あり谷ありのシーズンでした。プロ1年目で難しいシーズンになるのは分かっていましたが、チームメートが支えてくれたからこそ気持ち良くプレーできました。ここからステップアップして今シーズンの経験を生かし、来シーズンはもっと大きい僕を見せたいです」