馬場雄大

天皇杯での敗戦を忘れず「今回は出だしを意識」

今回のファイナルで千葉ジェッツと対戦するにあたり、馬場雄大の頭にあったのは年明けの天皇杯、準決勝での敗戦だった。立ち上がりで6-17と2桁離されたのが響いて1点差での敗戦。「最初にガツンと千葉さんにやられて、差を詰めるのに精一杯なところがあった。今回は出だしを意識してやりました」と馬場が語ったように、序盤からリードを作った。

簡単な展開にはならなかったが、第1クォーターを終えて16-15と1点リード。爆発力のある千葉を乗せないことがまずは大事。第2クォーターも田口成浩の3ポイントシュートが大当たりしたにもかかわらず、19-18でA東京が上回った。相手を走らせず、接戦の展開に持ち込めば勝てるという自信が、馬場のみならずA東京のメンバーにはあった。

また試合序盤を振り返れば、12-6と突き放して千葉に最初のタイムアウトを取らせたのは馬場のダンクだった。ギャビン・エドワーズからアキ・チェンバースの、オフェンスの組み立てに入る前の段階のパスを狙ってそのまま走る、A東京にとっては是非とも欲しいビッグプレーだった。「ギャビン選手が安易なパスをすることはスカウティングの時から少し感じていて。去年のファイナルでもギャビン選手のパスをカットしてダンクに行けたので、イメージはありました」

「そこでチャンスだと思ったのがあのシチュエーションで、ダンクについてはゲームの始まりでもあったので、もちろんチームに影響を与えるプレーではあったと思うんですけど、そこに対して意識はあんまりなくて、次のプレーに向かう気持ちで次に切り替えることができました」

この試合、菊地祥平ではなく馬場が先発に名を連ねた。ヘッドコーチのルカ・パヴィチェヴィッチは、普段は田中大貴と馬場、ピック&ロールの使い手を同時起用するのではなくローテーションで使うが、ファイナルという大事な試合の立ち上がりに勝負に出たことを明かす。千葉のディフェンスもファイナル用に調整されており、馬場の言葉を借りれば「オーバーだったりアンダーだったりという匠なディフェンスをしてきた」が、「そこで慌てずにピック&ロールを使えた。ディフェンスが寄ってきたところをパスしたり、そういった周りにパスを配給する部分が何よりも今日は、チームの勝利を考えたら一番だったかなと思います」と振り返る。

馬場雄大

「このターニングポイントがさらに自分たちを強くする」

Bリーグで初の連覇であり、令和での初優勝となったが、馬場が感じるのは東地区3位から勝ち上がったチャンピオンシップの道のりだった。「ワイルドカードからということで、もちろんアウェーで戦うのはハードなことですけど、やっぱりディビジョン的に新潟さんは中地区優勝、琉球さんは西地区優勝、戦歴的にも僕たちは勝ち越しているチームがなくて、そういった意味ですごくタフなプレーオフだったのは間違いありません」

「その中での応援を感じつつ戦えたのは、今後続くバスケット生活でこのターニングポイントがさらに自分たちを強くすると思いますし、ここで満足せず戦いたいっていうのが今考えられる正直な気持ちです」

「2018-19シーズンがここで終わって、少し余韻に浸って次は代表だったり、日本バスケがここで変わったって言われるような瞬間、頑張ればその瞬間を迎えられる時が来ると思うので、その場に立てることに感謝してプレーしたいですし、他のメンバーとも切磋してやっていきたい」

昨シーズンの新人王に続き、今シーズンはファイナルMVPに輝いた。大学時代から毎年優勝し続けているが、まだここで止まるつもりはない。『その瞬間』に向けて成長は続く。