ニコラ・ヨキッチ

ヨキッチを含む4選手が20得点超え、劣勢からの逆転劇

シェイ・ギルジャス・アレクサンダーとニコラ・ヨキッチの『MVP対決』の期待は、両エースがともにシュートタッチ不調で裏切られた。そうなるとタレントの質と量ではサンダーが上回っているはずだが、プレーオフでの戦い方をより知っているという点でナゲッツが上回った。

両チームによるカンファレンスセミファイナル第3戦は、2桁の点差が付くことのない大接戦となったが、ナゲッツの苦戦が目立った。わずかな差ではあっても、ほとんどの時間帯でビハインドを背負い、突き放されないように食らい付くのが精一杯に見えた。頼みのヨキッチは、サンダーがチェット・ホルムグレンとアイザイア・ハーテンシュタインの『ツインタワー』にペイントエリアから締め出され、2人が交互に、そして執拗にフィジカルに守ってくることでストレスを溜めていた。

前半を終えて8得点9リバウンド1アシスト、ターンオーバーは5つ。後半になってやや持ち直したものの、第4クォーターの勝負どころでも熱くなってしまい、『ツインタワー』が待ち受けるゴール下に強引に突っ込んでタフショットを放つ、いつもスマートなヨキッチらしからぬプレーが目立った。

延長までもつれたこの試合、ヨキッチは44分の出場でフィールドゴール25本中8本成功、3ポイントシュートは10本放って成功なしの20得点、16リバウンド6アシスト(ターンオーバー8)と不調だった。

しかし、この試合では他のチームメートが大きなステップアップを見せた。ジャマール・マレーはルーゲンツ・ドートの執拗なマークに苦しんだが、彼のいない時間帯に得点を稼ぎ、またスクリーンでドートを引き剥がす周囲の助けも活用して27得点を記録。このところ不調だったマイケル・ポーターJr.は得意のクイックリリースの3ポイントシュートを6本中5本決めて21得点。そしてプレーオフに入って2本のゲームウィナーを決めているアーロン・ゴードンは、試合を延長に持ち込む同点3ポイントシュートを含む22得点を挙げた。

ヨキッチのパスから変幻自在の攻撃を繰り出したわけではなくても、ヨキッチを含めたコアメンバー4人が20得点超えと、結果として非常にバランスの良い攻撃ができた。レギュラーシーズンを通じて『ヨキッチ依存』を批判されてきたチームとは思えないパフォーマンスは、チームの士気を高めるものだ。

「チームワークが光った試合だったよ。特にディフェンスでね」とヨキッチは語る。「僕は試合を通してずっとイライラしていた。彼らは両手を広げてパスコースを封じ、フィジカルに当たってきて、手も使ってきた。彼らがどう守ってくるのか分からなかった。分かっていればあんなにターンオーバーはしないからね。でも、イライラしながらも試合に集中しようと努力し続けた。チームの一員として小さなプレーをしっかりやろうとした」

厳しいマークに苦しみ、チャンスメークができずターンオーバーを連発したことに彼は大きなストレスを感じていたが、シュートタッチが悪いことは心配していなかった。「たまにはそういうこともある」とヨキッチは言う。「みんなが僕のためにシュートチャンスを作ってくれた時は打ち切るのが大事だ。タッチがどうであれ打ち続けたことに達成感があるよ」