崎濱秀斗

桶谷大ヘッドコーチ「あとは経験だけと思っている」

3月29日、琉球ゴールデンキングスはホームで群馬クレインサンダーズと対戦。ともにチャンピオンシップ圏内の上位対決は、強みであるゴール下の争いで主導権を握った琉球が87-68の快勝を収めた。

ともに相手ディフェンスの圧力に苦しめられた序盤はロースコアとなるが、ベンチスタートのケヴェ・アルマが投入からわずか3分で8得点を挙げ、琉球に2桁のリードをもたらす。琉球は試合を通して強度の高いプレーを継続し、リバウンドで群馬を圧倒。セカンドチャンスポイントで31-14と大差をつける危なげない試合展開だった。

先日、琉球への電撃加入が発表されたルーキーの崎濱秀斗は、前半終了間際と勝敗が決した終盤の3分間コートに立ち、Bリーグデビューを果たした26日の川崎ブレイブサンダース戦に続き、今回はホームデビューを果たした。

桶谷大ヘッドコーチは、1週間前にチームに合流したばかりの崎濱を2試合連続でコートに送り出している。これは彼を即戦力と見なしているからで、控えポイントガードの平良彰吾が左膝のケガで戦線離脱したというチーム事情もあり、崎濱への期待をこう語る。

「前半はシュートが上手いのでコーナーに置いておくだけでも、と思いました。彼の良さを生かせる状況になればタイミングを見て出したいです。そして彼はディフェンスが良いです。ポイントガードは(岸本)隆一がいて(伊藤)達哉も足のコンディションが良くなってきましたが、10分はなかなか超えてこないところがあります。そうなると隆一が30分出ないといけないのはキツいので、3番手のガードを出られるようにしたいのは正直あります」

さらに桶谷ヘッドコーチは、「秀斗は19歳ながらある程度のスキルセットを持っていて、あとは経験だけと思っているので、積める時に積ませてあげたい。正直、彰吾がどれくらいのタイミングで帰って来られるかは分からないです。チャンピオンシップを見据えても秀斗を3番手として使えるようにしておきたいです」と、今後も起用していく意向を示す。

崎濱秀斗

「まだまだ時間はあると自分は感じています」

崎濱は沖縄アリーナでのデビューについて「先輩方が第4クォーターまで強度の高いディフェンスをやってくれたおかげで、最後にプレーすることができました。勝てたことがうれしいですし、先輩方に感謝しています」と語る。

短い時間ではあったが、積極的なアタックを仕掛ける中で、「徐々に試合に出て、先輩たちの姿を見てたくさん学べばあの舞台で活躍できると確信しました。イージーレイアップを外してしまいましたが良い収穫になりました」と手応えを得た。

アメリカでの1年間の留学生活は万事順調とはいかなかったが、収穫もあった。「アメリカの1年間は率直に言うと、自分のやりたいピック&ロールとかあまりできなかったです。でもその中で、自分で打開する力、チームメートを生かす力は絶対につきました。チーム内で一番小さくで、前からディフェンスをしていたので、そこはキングスに貢献できると思います」

そして今の彼は、「Bリーグに来て多くのことを学んでいて、佐々(宜央)さんからたくさんワークアウトをしてもらっています」と現状を語り、シュートセレクションの改善に着手している。

「佐々さんやチームメートがシュート力を評価してくれています。高校の時は2点のジャンパーを結構打っていましたが、2点ならレイアップやリングに近いシュート、そして3ポイントシュートと効率の良いシュートアテンプトが本当に大切になります。そこは見直して、まだまだ時間があるのでしっかりと改善していきたいです」

その類稀な才能により、崎濱にはチャンピオンシップでプレーする可能性が十分にある。高校の活躍で知名度がり、地元沖縄の出身でもあることで、琉球の将来を背負って立つ存在として、早くも大きな注目を集めつつある。

しかし彼は、「もちろん試合に出てチームに貢献したい思いはあります」と前置きしつつ、冷静に現状を受け止めている。「若いという言い訳をしたくないですが、まだまだ時間はあると自分は感じています。チーム内に素晴らしいポイントガードがいるので、焦らずに練習と試合でたくさん学んで、近い将来に自分がキングスのガードになれるように頑張っていきたいです」

シーズン終盤になって加入した19歳の若者に、いきなりの活躍を期待するのは酷というものだが、この難題もクリアできると感じさせるプレー強度、メンタル面の成熟さを崎濱は備えている。