文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

互いの長所を潰し合うディフェンシブな戦いに

平日開催となったレバンガ北海道vs秋田ノーザンハピネッツ。残留プレーオフ回避をかけた一戦は、ともに攻撃の精度が上がらないロースコアゲームとなったが、最後はホームの北海道が要所を締めて接戦を制した。

ボールをもらうまでのチェックを強め、互いにシュート前にファウルを重ねるなど、序盤から重い展開となる。谷口大智による2本の3ポイントシュート、そしてシュートファウルを誘う安藤誓哉のフリースローで得点を重ねる秋田に対し、北海道はインサイドで力を見せるダニエル・ミラーで対抗する。

北海道が33-28とリードして始まった後半も膠着状態は続く。それでもオン・ザ・コート「1」の状況で、このところ好調のスコット・モリソンが連携の中から9得点を奪い秋田が点差を詰めた。

北海道の2点リードで迎えた最終クォーター、秋田はファウルトラブルに足を引っ張られる。簡単にパス交換をさせないための前からのハードプレスが裏目となり、集中力を欠いたイバン・ラベネルがオフェンスファウルを犯すなど、7分を残してチームファウルが4に到達。

北海道はこれにより試合を優位に進め、61-53と8点のリードを奪う。これで試合の趨勢が決まったかに見えたが、フリースローの成功率が上がらず突き放す機会を逸し、ファウルを誘うことを意識するあまりオフェンスのリズムを崩していく。この間にレオ・ライオンズの連続得点、安藤の3ポイントシュートで追い上げた秋田が、残り1分33秒で田口成浩の3ポイントシュートにより66-64と逆転した。

13得点の折茂「明日も勝たなければ意味がない」

劣勢をひっくり返した秋田が、そのままの勢いで押し切るかに見えたが、ここから両チームのクオリティに差が出る。タイムアウトで集中し直した北海道が、アグレッシブかつバランスの良い攻守を見せたのに対し、秋田は勢いに乗ろうと慌ててしまい、北海道の守備を崩さないままの散漫なシュートで貴重なポゼッションを明け渡す。

残り46秒、桜井良太が果敢なドライブからバスケット・カウントをもぎ取る3点プレーで北海道が69-67と逆転。その後は安藤のスローインを妨げようと目の前で手を伸ばしていた多嶋朝飛が値千金のスティールに成功。ここでも軽率なミスでポゼッションを失った秋田がファウルゲームに持ち込むも、ジャマール・ソープと折茂が大事な場面でフリースローを2本ずつ成功させ、73-69で逃げ切った。

北海道の水野宏太ヘッドコーチは「チームでしっかりと戦い、調子が良い秋田との大切な試合に勝利できたことはうれしい」と、残留確定に近付く1勝をまずは喜んだ。桜井がもぎ取ったバスケット・カウントが混戦に終止符を打つ決定打となったが、このシーンを振り返り、「最後、大事な場面で相手に流れが行きかけているところをしっかりドライブを仕掛け、『エンドワン』という形で流れを持ってきてくれた」と桜井を称えた。

その桜井は「今日はスタッツを見ても分かるように、みんなが活躍してディフェンスをし、相手のエースの田口選手をしっかり抑えて勝つことができたと思います」と田口をわずか3得点に封じたディフェンスの勝利を強調した。

それでも折茂は「明日も勝たなければ意味がない」と気を引き締めた。「秋田もより気合を入れて挑んでくる。気持ちを入れ替え、我々もギアを入れ直し、勝負に徹したい」

激しく戦うスタイルの秋田に求められるのは『成熟』

敗れた秋田は、敵地での試合で相手のペースに持ち込まれながらも、終盤に怒涛の反撃を見せ、一時は逆転する奮闘を見せた。ポイントガードの安藤の力強いボールプッシュに加え、センターのモリソンが好調で軸ができているのは強み。ただ、インテンシティが強い一方で荒さも目立つ。長谷川誠ヘッドコーチも「明日はディフェンスを確実に実行し、少しでもオフェンスのミスを減らして別のチームにならなければ」と語る。

最終クォーター開始3分を待たずしてチームファウルが4つに達して自滅。攻守に激しくファイトするスタイルは貫くべきだが、個々の気持ちが噛み合わず、結果として空回りしてしまった。第4クォーターに与えたフリースローは15本。ファウルゲームによる4本を除くとしても、接戦の終盤で最も決定率の高いフリースローをこれだけ与えたのでは勝利はおぼつかない。

圧勝できる試合はほとんどない状況、辛抱強くプレーすることで相手よりもミスを減らし、接戦で競り勝つ『成熟』が、今の秋田には求められている。まずは今日19時からの第2戦でどこまで修正できるか。シーズン終盤、修正力がカギとなる。