三遠の連勝を22で止める「一瞬たりとも気が抜けない」
3月22日、宇都宮ブレックスと三遠ネオフェニックスによる現在勝率トップ2の直接対決が行われ、ホームの宇都宮が88-86で激闘を制し、三遠の連勝を22で止めた。
試合序盤、宇都宮は三遠の素早い攻守の切り替えにズレを作られてイージーシュートを許し、開始5分で10点のビハインドを背負うも、D.J・ニュービルが決定力を発揮して悪い流れを断ち切った。その後は互いにリーグ屈指のオフェンス力を発揮してハイスコアゲームとなる。
53-48と宇都宮がリードして迎えた後半は互いに守備を立て直し、第4クォーターに入っても僅差で試合は進む。互いにタフショットを決め合う白熱の展開となった終盤、宇都宮は1点ビハインドの残り22秒にニュービルが3ポイントシュートを決めて逆転。そのまま試合終了まで高い集中力を継続して勝利を収めた。
ニュービルと比江島慎が揃ってファウルアウトし、比江島のプレータイムは24分22秒に留まったが、その穴を埋めたのは高島紳司だった。19分44秒出場で3ポイントシュート3本成功を含む11得点3リバウンド1スティールを記録。残り2分半、吉井裕鷹のバスケット・カウントで3点差とされる嫌な流れを断ち切る3ポイントシュートを決め、2点リードで迎えたラストポゼッションの守りでは、三遠のエース佐々木隆成への密着マークでシュートミスへと繋げ、攻守でビッグプレーを見せた。
「22連勝をしている勝率全体1位の相手で、数字が示すとおり対戦してみたら本当に強くて、一瞬たりとも気が抜けない試合でした」
こう試合を振り返った高島は、難敵相手の価値ある同一カード連勝へ向け、勝利の余韻に浸ることなく気持ちを引き締める。「どちらが抜け出すか分からない状況が続いた中で、今日は勝てましたが明日も大きなチャレンジです。明日は今日以上の強度、エナジーで相手が来ると思うので、それに負けずに向かっていきたいです」
「強豪相手では良いパフォーマンスができていない」
高島は自身のプレーについて、オフェンス面では「シュート打つチャンスはあまり多くないと思っていましたが、チームとして作ってくれたシュートを入る、入らないにかかわらず打ち抜こうと決めていました」と語る。
最後のディフェンスには強い覚悟で臨んでいた。「D.Jとマコさんがファウルアウトしていて、延長になったらキツいと思っていました。おそらく佐々木選手の1on1で来るので、自分が責任を持って守らないといけない。『これでやられたら自分のせい』だと思って臨みました。ヒーローになる気持ちはありませんが、絶対に止めるつもりでした」
リーグ屈指の強豪、宇都宮においても高島は3ポイントシュートと堅守を武器にローテーション入りし、安定したプレータイムを勝ち取っている。しかし本人は、「この試合に臨むにあたって自分の中で整理した際、今まで強豪相手では良いパフォーマンスができていないと思いました」と課題を見いだしていた。
「今日は自分との戦いになると意識して試合に入りました。前半、シュートが入らず精神的に落ちそうになった時、この気持ちを思い出してプレーしていました」
この試合に限らず、今の宇都宮は高島、小川敦也の若手コンビによるセカンドユニットの活躍がチームに大きな勢いを与えている。高島はその手応えをこう語る。「最初の頃より自信を持っています。チームとしてどういうオフェンス、ディフェンスをしたいのかを理解して、自分たちに何ができるのか。良い流れの時は継続し、悪い時にはどう流れを変えられるのか意識していて、それを最近は2人で良い形でやれています」
「最近は小川選手と一緒に出ることが多くなっています。自分たちの強さは、若さやスピード、エナジーです。それをやらないなら、なんで出ているのかとなります。出ている以上はこの強みを発揮しないといけないです」
ニュービルと比江島を中心とした宇都宮の先発メンバーは、リーグ随一のタレント力を誇る。だが、ホームで痛恨の敗戦となった昨年のCSクォーターファイナル、宇都宮は先発メンバーにプレータイムが大きく偏ったことが、第3戦の最後で競り負けた要因となった。それが今シーズンは高島、小川のステップアップで、セカンドユニットが強化された。昨年と同じ轍を繰り返すことはないと強く感じさせるゲーム1の勝利となった。