辻直人

攻守とも噛み合わずに千葉ジェッツに完敗

3月19日、群馬クレインサンダーズは千葉ジェッツをホームに迎えた。第1クォーターこそリードを奪ったものの、第2クォーターで13-27と勢いを失った。後半に流れをつかみかける場面もあったが、70-86で千葉Jに敗れた。

会見場に姿を現した辻直人は、力なく「本当に強かったですね、千葉ジェッツは……」と語った。

群馬はリズム良くオフェンスを展開しても得点に結び付かなかったり、ハードなディフェンスを仕掛けても千葉Jにタフショットを決められるなど、勝負どころでの差を見せつけられた。「良いオフェンスができても決め切ることができず、それでディフェンスにも影響が出る悪循環でした。そういう時間帯をいかに少なくするかが今後の課題です」と辻は言う。

これで東地区2位の群馬と同3位の千葉Jのゲーム差は1となった。直近で群馬は3連敗、千葉Jは3連勝とその勢いには明確な差がある。この大事な試合を落としただけでなく、連敗の教訓を生かせなかったのも痛手となった。

「サンロッカーズ渋谷と宇都宮ブレックスに負けて、自分たちを見つめ直す機会になりました。ヘッドコーチからも『プレーオフのようなゲームになる』と言われていました。みんな気持ちを作って、連敗から学んだことをやろうと一つになっていました。やってきたことを出せた時間帯もありましたが、それができなかったのが敗因になりました」

しかしながら、辻自身は好調だった。連敗を喫した直近2試合の3ポイントシュートは8本中成功1本、わずか3得点と低調だったが、この試合では3ポイントシュートを6本中4本沈めて15得点と復調を遂げた。

このパフォーマンスを辻は振り返る。「コンディションも整って良い頃の自分に戻りつつある感じです。タフなスケジュールに備えてきたので、ここからチームの力になれたらと」

辻直人

「チームとしてやってきたことの真価が問われる」

バイウィークが開ける直前、辻は終盤戦のポイントをこう話していた。「ここからスカウティングされる材料は増えます。その中でアジャストできるかがチャンピオンシップに向けて一番大事になってきます」

その言葉通り、千葉Jは群馬の武器であるトレイ・ジョーンズのアタックを徹底的に守って5得点に抑えた。それ以外にも『群馬対策』は随所に講じられていた。今後、他チームも群馬を強豪と認識し、入念なスカウティングをしてくるだろう。

しかも、宇都宮、三遠ネオフェニックス、琉球ゴールデンキングスと各地区首位チームとの対戦を2試合ずつ残している。辻はそれを十分に理解した上でチームに声をかけている。「タフなスケジュールになり、これまでチームとしてやってきたことの真価が問われるから、みんなで乗り越えようと話しています」

チャンピオンシップ出場や天皇杯優勝を経験した辻は、自身がベテランとして培ってきたものをチームに還元しようと奔走している。キャプテンを担うことでの心境の変化も大きい。

「今までは自分のプレーでチームを勝たせたいという気持ちが一番でした。今でももちろんその気持ちはあります。ただキャプテンとして、他の選手がどう思っているのかを考えて、みんなが気持ち良くプレーできるように気遣っています」

「自分のパフォーマンスが出せない時でも、チームのことを考えなければならないのは大変です。ただ、良い経験はできているので、キャプテンとして行動していくだけです」

3連敗により、現時点ではチャンピオンシップクォーターファイナルのホーム開催権を失った。この連敗を糧に変えて、レギュラーシーズン最大の踏ん張りどころで力を発揮できるか。群馬の真価が問われている。