前半は耐えた富山だが、後半には踏ん張りきれず
レギュラーシーズン勝率1位の千葉ジェッツに対し、チャンピオンシップに最後に滑り込んだ富山グラウジーズが挑んだチャンピオンシップ、クォーターファイナルの第1戦。
前半は点の取り合いになった。開始早々、レオ・ライオンズ、大塚裕土の3ポイントシュートが幸先良く決まって得点を重ねた富山に対し、千葉も相手のイージーミスを見逃さずにギャビン・エドワーズがスティールから強くのアタックで得点を奪う。
千葉は相手の強みであるインサイド、ジョシュア・スミスを徹底したダブルチームで抑え込み、第1クォーターを2得点と沈黙させる。だが富山も粘りを見せ、インサイドがダメなら外からとライオンズが11得点を積み上げて対抗する。第2クォーターには宇都直輝のバスケット・カウント、水戸健史の速攻が続くなど富山の奮闘が目立ったが、エドワーズのブザービーターで締めた千葉が48-44とわずかにリードして前半を終えた。
それでも後半に入ると試合が一気に動き出す。富樫勇樹のゲームメークからマイケル・パーカー、エドワーズ、アキ・チェンバースへのアシストで得点を重ね、富樫は自らの3ポイントシュートも決めて、後半開始3分でリードを2桁に乗せた。
富山はパスが噛み合わなくなり、その小さなミスをことごとく千葉に拾われる。レギュラーシーズンでこういう悪い流れを止めるゲームコントロールを見せてきた阿部友和が投入され、古巣の千葉相手に富山のリズムを作り始めるが、それでも乗ってしまった千葉を止めるのは難しい。パーカーからエドワーズにディフェンスの裏を突く合わせのパスが通るなど千葉のトランジションオフェンスが炸裂し始めると、点差がみるみる開いていった。
富樫「プロキャリアでトップ3に入るパフォーマンス」
第4クォーター序盤に24秒クロックの故障で試合が30分ほど中断するアクシデントがあったが、それでも千葉は自分たちのリズムを崩さなかった。第4クォーターの失点をわずか10に抑えた千葉が、最終スコア102-73で勝利した。
チャンピオンシップで100点ゲームを成し遂げた千葉のオフェンスを牽引したのは富樫勇樹だ。17得点13アシストのダブル・ダブル、3ポイントシュートを5本中5本すべて成功させた富樫は満足気にこう語る。
「今日は今までのレギュラーシーズンを含め、自分のプロキャリアでもトップ3に入るぐらいのパフォーマンスができた試合だったんじゃないかと。それは別に得点を取るとかアシストも含めですけど、チームをコントロールするというか、周りをしっかり見てプレーやコールの選択を含め、ポイントガードとしての仕事も含めで、それぐらいの仕事ができたと感じています」
ポイントガードが良い判断をすれば自ずとチームメートの動きも良くなるもの。5選手が2桁得点を挙げたことも、富樫を満足させたに違いない。
奮闘するも大敗した富山、千葉を勢いに乗せ苦境に
大野篤史ヘッドコーチは「前半はフラストレーションしか溜まりませんでした」と、44失点を喫した前半を振り返った。「プラン通りのことはやっているが、そこにインテンシティが足りていない。後半に入る前に、やってることは間違っていないがやり方が違うと選手に伝えました」と厳しい言葉を語る。また、後半に持ち直せたのは「自分たちの準備してきたプランを遂行できたから」と、自分たちのバスケットを遂行できたことが今回の勝利を呼び込んだと語った。
「僕たちがここで気持ちのあるプレーをコートで表現することが、ブースターの皆さんへの恩返しですし、そういうプレーを40分間継続してやっていきたい」と、大野ヘッドコーチはホームアリーナでサポートを得て戦うありがたさを語り、会見を締めた。
富山にとっては、自分たちのバスケットがそれなりに遂行できたにもかかわらず、最終的には大差で敗れたこの試合。明日の第2戦に向けて、相手を勢いに乗せてしまったことは間違いない。苦しい状況を打開する秘策はあるのか、それとも千葉がこのまま押し切るのか。明日の第2戦も船橋アリーナで、15時5分ティップオフとなる。
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