ベンドラメ礼生

史上初となるBリーグ通算400試合連続出場を達成

サンロッカーズ渋谷は2月8日、アウェーで琉球ゴールデンキングスと対戦。強度の高いディフェンスで琉球にタフショットを打たせ7-0と良いスタートを切ったかに見えたが、岸本隆一の3ポイントシュートによって良い流れを断ち切られて逆転を許した。琉球にゴール下で主導権を握られながらも、ジョシュ・ホーキンソンが高確率でシュートを決めて食らい付いていく。しかし第3クォーター終盤に集中力を切らし、トランジションからイージーシュートを連続で許して47-59と突き放されて、第4クォーターに入っても流れを取り戻すことができず、琉球に押し切られて62-75の敗戦となった。

SR渋谷のベンドラメ礼生は、この試合でBリーグ史上初の400試合連続出場の偉業を達成。しかし、この敗戦に加え、個人としてファウルトラブルとシュートタッチに苦しみ22分35秒出場でフィールドゴール7本中0本成功の無得点に終わるほろ苦いメモリアルゲームとなった。

ベンドラメは試合をこう振り返る。「良いバスケができていたわけではないのに5点差でついていけたのは良かったですが、そこから点差を詰められなかった。我慢が切れたタイミングで10点差に突き放され、簡単な失点が多かった結果として、これだけ最後に点差が離れてしまいまいた。5点差の時間帯でできていたことをみんなで確認して、明日の試合でやり返したいと思います」

タフな日程が続く中、400試合連続出場の金字塔を樹立した秘訣として「自分の現状、正常値を知るため特に変わったことをしないのは大事なことだと思います」と語る。

「例えば余計にいつも以上にストレッチをしない。新しいことをすることがダメとは思わないですが、そうすることで身体のリズムが崩れることもあります。普段のゼロの状態をしっかり理解して、自分の身体と向き合っていけば記録は後からついてくる。これからも無理をせず身体としっかりコミュニケーションを取っていきたいです」

ベンドラメ礼生

「プロ選手の一つの価値はファンの期待に応えること」

当然、400試合すべてを万全のコンディションで戦えたわけではない。「ケガをしていることもありました」とベンドラメは明かし、記録よりも常にチーム第一の姿勢を貫いてきた。

「ケガをした時はヘッドコーチに、『チームに迷惑をかけると思ったら出さなくて良いです』と伝えていました。自分でもチームに迷惑をかけると思ったら、自分から欠場を選択することは常に考えています。チームが第一で自分のわがままで試合に出ることはしたくはないです。自分の身体を見て、チームに貢献できるという思いがあったので、これまで出場を続けてきました」

ベンドラメは、「記録はモチベーションの一つになっています。でも僕のわがままで、記録がかかっているから出たいということはなかったです」とブレない信念を語る。

今回の記録の価値をより高めているのは、この400試合を通してベンドラメがチームの主力を担ってきたことだ。ベンドラメも「主力として400試合に出続けたのは、常にチームに貢献している証なのかと思います」とプライドを見せる。

だが、同時に主力を任せられるからことで大きな責任を背負う必要があると自身を厳しく律している。「プロ選手として結果がすべてだと思っています。試合に出ているのであればしっかりコートで結果を出さないといけない。出続けることはモチベーションであり、結果を残す必要あると良い意味で自分にプレシャーをかけ、コートで良いパフォーマンスを発揮しようという方向にしています」

今やBリーグでは満員の試合も珍しくなく、試合前日だったり当日に会場で気軽にチケットを購入できないケースは増えている。また、チケットの値段も決して安いとはいえない。少なくないファンにとって、Bリーグ観戦は年に数回あるかないかのイベントだ。ベンドラメは『チームの顔』として、そこで試合に出ることの意味を真正面から受け止めている。

「プロ選手の一つの価値は、ファンの皆さんの期待に応えることです。僕を見にきてくれるのはすごくうれしいことですし、そこで皆さんを魅了してナンボだと思います。僕を応援してくれる人、見にきてくれている人がいる限り、コートの上でその思いを返したいという気持ちを常に持ってプレーしています」

400試合連続出場はベンドラメの強靭な肉体、日々の優れた自己管理とともに、彼のファンに対するプロ意識の高さによって生まれた偉業だ。