「我慢しないといけないところでしきれなかった」
2月5日、三遠ネオフェニックスは天皇杯準決勝でアウェーに乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。立ち上がりは出遅れるもセカンドユニットのディフェンスから流れをつかみ、第3クォーター残り6分40秒には大浦颯太の3ポイントシュートで50-37とリードを広げる。しかし、ここから琉球の猛反撃を食らい、第4クォーターの得点が10に留まるなどの失速がたたって67-80で敗れた。
この試合、三遠は得意の3ポイントシュートが29本中4本成功と不発。中心メンバーの大浦は、9本中1本成功とシュートタッチに苦しんだ試合を終えてこう語る。「アウェーで我慢しないといけないところで我慢しきれなかったところは自分たちが成長すべき点です。この負けからどう学んでチャンピオンシップに進んでいくのかが大事です」
自身のパフォーマンスについて「今日の試合だけでなく、ここ最近シュートが入っていませんが、自分のシュートは打てています。自分のシュートが入らなくてもチームが勝てればいいので、自分のプレーを続けていきたい」と語る一方、次のように中心選手の自覚を持って敗戦に正面から向き合っている。
「これだけ打たせてもらっている中で決め切らないといけない責任はあります。自分が決めていれば、いろいろとオフェンスの選択肢は広がっていきます」
大野篤史ヘッドコーチは、後半に失速した要因をこう語る。「個々の力でこじ開けられてしまった時、自分たちがやり返そうというオフェンスマインドになってしまい、ディフェンスを我慢強く続けていけませんでした。やり返すメンタリティは必要ですが、ボールを回せない分オフェンスが単調になり、自分たちのリズム、勢いを持ってくることができなかったと思います」
単調になってしまったオフェンスを大浦も悔いる。「ボールが回らずただ空いているからとシュートを打っていると、外れた時にリバウンドが取れません。チームとしてシュートタッチが良くない中、粘り強くパスを回してより良い状況を作っていかなければいけなかったです」
「這ってでも勝たなければいけない試合がある」
昨シーズンの三遠はレギュラーシーズンで46勝14敗の好成績を残し、中地区優勝を達成したが、チャンピオンシップでは初戦敗退。今シーズンもここまでBリーグでは30勝4敗と圧倒的な強さを誇りながら、天皇杯のファイナル進出を逃した。
大野ヘッドコーチは、チームのさらなる成長のために、負けたら終わりの緊迫した試合を勝ち切ることの大切さを語る。「勝たなければ終わるという試合をもう少し経験させてあげたい。それが選手たちの成長に繋がります。この敗戦を学びにして、這ってでも勝たなければ試合があることをもう少し理解してほしいです。少しずつ変わっている中、もう一つ階段を登れるとするならば、今日のようなゲームに勝たないといけないです」
大浦も、次のように危機感を強調する。「僕も含め三遠はチャンピオンシップ準決勝、決勝など大舞台に立っている選手ばかりではありません。『経験の差が出たよね』の言葉で終わらせてしまっては、いつまでたっても勝てないです。自分たちがチャレンジャーの気持ち、エナジーを持って戦わないと前回のチャンピオンシップで後半に巻き返されて勝てなかったのと同じになってしまう。ここは乗り越えていけないと思います」
さらに大浦は「相手の特徴を理解して、この試合では何をしなければいけないのか、そこの徹底が僕自身を含めてまだまだ足りないです。1分、2分でも気が抜けてしてしまうと勝てない。40分間、戦い続けないといけない。僕たちは何かを成し遂げたチームではないです」と続ける。
今回の試合は、三遠に自分たちの課題を直視させる内容と結果となった。指揮官が語る『這ってでも勝ちにいく』姿勢をより身に着けることができるのか、5月のチャンピオンシップでその成果が問われることになる。