ウェンバニャマとのピック&ロールで接戦を勝ち切る
現地2月5日、ディアロン・フォックスが新天地スパーズでのデビューを飾った。試合を前にフォックスは、こう意気込みを語っていた。「このチームが苦労している部分を僕が解決できると思う。ビクター以外のところでチャンスを作り出し、ペイントタッチすること。ディフェンスのズレを突いて崩すこと。僕個人のプレーが上手くいかなくても、相手の注意を引くことができる」
実際、彼はその言葉通りのプレーをデビュー戦で披露した。2ガードで先発したクリス・ポールはできるだけフォックスの楽なマッチアップを作り出してはパスを送り、リズムをつかみやすい環境を作った。最初の2分でデビン・バッセルとビクター・ウェンバニャマの得点をアシストし、その後はポールのアシストを受けてのプルアップスリーで初得点を記録し、お返しにポールの3ポイントシュートをアシストと、フォックスもスパーズも順調なスタートを切った。
後半が始まって最初のプレーでフォックスの得点が決まって74-54と20点リードに。それでも前半は9得点5アシスト6ターンオーバーと冴えなかったトレイ・ヤングが後半は23得点7アシストと巻き返して終盤は接戦に。残り8秒、スパーズのチームディフェンスが封じ込めたと思われたヤングがタフなフローターを沈めて、125-125の同点となった。
しかし、ここでフォックスの「相手の注意を引くことができる」が現実となる。クリス・ポールからのインバウンズを受けたフォックスはウェンバニャマとのピック&ロールを仕掛け、ダイソン・ダニエルズとデアンドレ・ハンターに強烈なプレッシャーをかけられながらもリムにダイブするウェンバニャマにパスを送った。ダンクに跳躍したウェンバニャマがファウルで止められてフリースローを獲得。これで抜け出したスパーズが126-125で勝利した。
記念すべきスパーズでの初勝利を挙げたフォックスは、最後のシーンを「僕が言った通りだっただろう?(笑)」とうれしそうに振り返る。「僕にディフェンスが2人寄り、ロールしたウェンビーがシュートを狙ってファウルを受けた。『決めてこいよ』と彼には声を掛けたよ。重要な場面でも心配はなかった。2本目は相手にタイムアウトが残っていなかったからわざと外したけど、そうじゃなければ彼は2本とも決めていたはずさ」
フォックスはダンクを狙った際に指をリングに打ち付けて痛めていたが「親指が腫れているけど大したことはない。どんなことも乗り越えてプレーしてきたんだ」と全く意に介さない。
ただ、今回のトレードについて「勘弁してほしい」と愚痴をこぼしたのは試合日程と移籍のタイミングだ。「キングスで6試合の遠征を全部終えたタイミングで移籍になった。そうしたらスパーズは6試合の遠征の2試合目だよ。どうなってるんだ?(笑)」
それでもフォックスはこれをプラスに変えようとしている。「新しいチームに馴染むには良かったと思っておくよ。遠征ではずっと顔を合わせて、一緒に食事に出掛けたりするわけだからね。もともと心配はしていないけど、すぐに良いケミストリーが生まれると思うよ」