前半はアデトクンボがフィジカルで圧倒するも……
『グリーク・フリーク』ことヤニス・アデトクンポと『エイリアン』とも評されるビクター・ウェンバニャマの直接対決となったバックスvsスパーズは、ヤニスのインサイドアタックをウェンバニャマが連続ブロックして始まり、2人による規格外のバトルが繰り広げられました。
いきなり屈辱のブロックを食らったヤニスは、そこから第1クォーターだけで15得点を奪ってすぐさまやり返します。スピンムーブで抜いてもすぐにシュートに行かず、ゴール下で止まってウェンバニャマを一度フィジカルで押し込み、ジャンプできなくしてからダンクするなど、ブロックを警戒したプレーに加え、今シーズン好調のミドルシュートで確実に得点を重ねました。
さらにディフェンスではウェンバニャマに密着し、フィジカルな対応で自由を奪い取ります。この接触を明らかに嫌がってリングから遠ざかるウェンバニャマの様子からは、2人のマッチアップではヤニスが圧倒しており、チームとしてもバックスに大きなアドバンテージがあるように見えました。
それでも、アウトサイドへと押し出されていったウェンバニャマが3ポイントシュートを連発し始めます。特に後半になるとトランジションからのディープスリーを決め、ヤニスのハードマークに遭って苦しまぎれに放ったタフショットもねじ込み、ドリブルから片足で踏み切った3ポイントシュートも決めきりました。ヤニスのフィジカルで圧倒されたままでも、シューティングスキルで試合の流れを変えたのです。
ヤニスがインサイドを支配したバックスは、前半はチームメートが3ポイントシュートを決めたことで71得点を奪いましたが、後半になるとこれが決まらなくなり失速します。それ以上に問題だったのは、ヤニスがインサイドにポジショニングしたことでトランジションディフェンスに参加できず、次々にカウンターアタックを食らったことでした。試合を通してターンオーバーは10回と少なかったにもかかわらず速攻での失点が31。ガード陣のディフェンスという弱点が露呈しました。
逆にスパーズはウェンバニャマがアウトサイドでヤニスを引き付けてくれたため、空いたインサイドを突いたチームメートが加点し、最後まで失速することなく144得点を奪っての大勝となりました。スパーズとしてはドライブからの得点がチームの課題でしたが、この試合はステファン・キャッスルやケルドン・ジョンソンがドライブを決めていき、中外バランス良く得点を奪うことでバックスを上回りました。
ヤニスは試合を通して35得点14リバウンド6アシストを記録。ウェンバニャマは5本の3ポイントシュートを含む30得点14リバウンド6ブロック。直接のマッチアップではヤニスが優勢でしたが、エースの特徴をチームとして効果的に使ったスパーズが上回りました。