渡邊雄太

「第4クォーターに自分勝手なプレーが増えた」

1月29日、千葉ジェッツはアウェーに乗り込んで宇都宮ブレックスと対戦。現在は東地区3位だけに、首位の宇都宮とのゲーム差を縮めたいところだったが、勝負どころで違いを見せつけられ、73-91で敗れた。

第1クォーター途中から宇都宮が主導権を握る展開が続くが、千葉Jも渡邊雄太や富樫勇樹の活躍で食い下がり、4点ビハインドと射程圏内に捉えて第3クォーターを終える。しかし、第4クォーターに入ると攻守で宇都宮の遂行力に対抗できず。このクォーターで12-26と大きく失速しての大敗となった。

試合後の渡邊は「第4クォーター、相手がチームとしてプレーを遂行していたのに対し、こちらは点差が離れ出したこともあって自分勝手なプレーが増えてしまいました。そこでチームがばらけてしまった感じでした」と敗因を語る。

そして勝敗の大きな別れ目となった場面を次のように振り返る。「5点差で追いかけていた中、(残り6分から)アイザック・フォトゥ選手に3ポイントとフローターを決められて10点差にされたのがターニングポイントでした。あそこで残り時間と点数を考えた時、早く点差を縮めたいという気持ちから無理なシュートが増えてしまった感じでした」

渡邊個人はトランジションオフェンスからテンポ良く外角シュートを放ち、第1クォーターでいきなり3ポイントシュートを3本決め、試合全体でも32分17秒の出場で3ポイントシュート11本中5本成功の23得点5リバウンド1ブロックと活躍したのだが、負けたこともあって満足感はない。

特に3ポイントシュートのタッチが良かったにもかかわらず、最も大事な第4クォーターにおいて試投数1本に終わったことを問題視する。「シュートは当たっていましたが、第4クォーターは打つ機会がなかなかなかったです。試合後にみんなで話す時、当たっている選手にはちゃんと打たせるようにしないといけない、と声かけをしました」と個人のエゴではなく、チームとして調子の良い選手を生かすことができなかったことを課題に挙げる。

渡邊雄太

「完成されていない部分が今日の試合では出た」

渡邊は開幕2試合目での故障からの復帰後、2桁得点を安定してマークし、1月12日の越谷アルファーズ戦での30得点、今回の23得点など、得点を量産する試合も増えているが、「個人的にはケガ明けからパフォーマンスが上がっていないと正直思っています。自分自身がしっかりやってチームを助けないといけないところはあります」と自己評価は厳しい。

思うようなプレーができていない要因を「ブランクが一番大きいです」と語る。「そもそも去年はオリンピックも直前までケガをしていましたし、NBAでは精神的な事情からしばらくバスケから離れていて、ほとんど試合ができていませんでした。1年間あまりバスケができなかった影響は間違いなくあります」

ただ、それもチームの中心選手として言い訳にしない。「シーズンも中盤になって1試合1試合が大事になってきます。そんなことも言っていられないので、しっかり自分のプレーをしていきたいです」

また、チームの現状においても危機感を持っている。今の千葉Jは、リーグ最強ビッグマンの1人であるジョン・ムーニーを右踵骨骨挫傷、右足底腱膜炎によって欠いている。1月31日にムーニーがインジュアリーリストから抹消されたことで、攻守両面でゴール下が大きく改善されるという見方もあるが、渡邊は「もちろん彼の存在は大きいです」とした上でこう続ける。

「でも、ムーン(ムーニー)が帰って来たらすべてが解決するわけではないです。今はジョナサン・ウィリアムズがゴール下でしっかりやってくれています。ブレックスは僕の知る限り去年からメンバーもほとんど変更がなくて完成されています。それに対して、自分たちの完成されていない部分が今日の試合では出たと思います」

実際、地区首位の宇都宮が27勝6敗、千葉Jは21勝12敗で地区3位と、この日のチームの遂行力の差がそのままここまでの成績に表れていた。トレヴァー・グリーソンヘッドコーチは、「現状、チームがどういう位置なのか分かる良いテストになりました。もちろん、自分たちのなりたいチームとなるには多くの課題があります」と総括した。

良くも悪くも自分たちの現在地を突きつけられた千葉Jだが、まだまだ立て直す時間は十分にある。そして簡単なことではないが、渡邊が少しでもブランクを解消し、本人の満足できるプレーを取り戻していくことが、復調への起爆剤となってくる。