デイミラン・リラード

サンダーはイージーなターンオーバーが響き逆転負け

ブレイザーズとサンダーの第5戦は、勝負どころで不可能を可能にするデイミアン・リラードのクラッチプレー、いわゆる『デイム・タイム』の真骨頂とも呼ぶべき決勝3ポイントシュートによりブレイザーズが勝利。これでカンファレンス・セミファイナルへの進出を決めた。

ホームでの第4戦を落としたサンダーだが、1勝3敗ともう後がないことで吹っ切れ、インテンシティで上回りブレイザーズと互角以上の攻防を繰り広げる。90-88と2点リードで迎えた第4クォーター、ラッセル・ウェストブルックの3ポイントシュートに始まり、デニス・シュルーダーの外角シュートにも当たりが出る怒涛のオフェンスで、15点差までリードを広げた。

それでもブレイザーズは慌てなかった。突き放されたのはリラードとCJ・マッカラムの両エースが交互にベンチで休んでいた時間帯であり、2人が揃うことで逆転できるという確信があったからだ。「シーズンには困難が待ち構えていることを誰もが理解している。最終的には、必ず乗り越えられると思っていた」とリラードは言う。

リラードのアシストを生かしてマッカラムとモーリス・ハークレスが連続得点を挙げて試合の流れを握ると、残り5分を切ってリラードが左ウイングからの3ポイントシュートを決めて103-108と詰め寄り、アリーナは大歓声に包まれた。

この間、サンダーはリードがあるにもかかわらず慌ててしまい、イージーなターンオーバーを連発。ブレイザーズに付け入る隙を与えてしまう。それでも簡単には屈せず、ウェストブルックが3ポイントシュートを決め返し、ポール・ジョージもドライブからエネス・カンターをかわしてゴール下をねじ込むことで踏ん張り続ける。

残り1分、マッカラムが難しいプルアップシュートを沈めてブレイザーズが同点に追い付くも、それ以上に難しいミドルジャンパーをジョージが決めて、アリーナを沈黙させた。

だが残り39秒でブレイザーズが取ったタイムアウトを挟んで、『デイム・タイム』が訪れる。シュルーダーのマークをスピードで振り切り、2人のビッグマンが待ち構えるペイントエリアへと飛び込んで115-115の同点に追い付く得点を挙げた。これに対してサンダーは、ウエストブルックがドライブで勝負するも決められず。18秒を残してブレイザーズのポゼッションに。

ボールを託されリラードは、最後のプレーは自分でと決めていた。マッチアップするのは1on1のディフェンスでは屈指の強さを誇るポール・ジョージ。リラードはゆっくりとドリブルをつき、なかなか仕掛けない。残り4秒で焦れたジョージが先に動く。次の瞬間、リラードは右へのサイドステップでズレを作り、37フィートの超ロングスリーを放った。ジョージも超人的な反応で腕を伸ばすも、わずかに届かず。これがゴールに吸い込まれると同時に、試合終了のブザー。劇的な逆転勝利で、ブレイザーズがシリーズ突破を決めた。

3ポイントシュート10本成功を含む50得点、さらには7リバウンド6アシスト3スティールと大活躍したリラードは、試合後にこう語る。「チームが成熟したことが大きい。一丸となって戦い続ければ、いつか報われる。この結果は、チームにとって始まりでしかない」

そして、この先も一丸となって戦い続けることをあらためてファンに約束した。「これまでに2度ファーストラウンドを突破した時は、その結果に満足してしまっていた気がする。シーズンを送っていれば疲れも出てくるけど、今は負けて敗退する気持ちには一切なっていない。これからもっと力強くなれると思っている」

ブレイザーズはカンファレンス・セミファイナルで、ナゲッツとスパーズの勝者と対戦する。