指揮官も絶賛「彼の成長ぶりは明らかで、頼もしいよ」
現地1月21日、ヒートはホームでトレイルブレイザーズ相手に107-116で敗戦。リーグ下位相手の痛い取りこぼしで21勝21敗となっている。
これでヒートはここ5試合で4敗。ジミー・バトラーと球団首脳陣の不仲が表面化し、トレードでの放出が不可避と言われるコート外のトラブルがチームに悪影響を及ぼしている。そんな苦境のヒートにおいて明るい話題となっているのが、ルーキーのケレル・ウェアの台頭だ。
20歳のウェアは、昨シーズンに古豪インディアナ大で平均15.9得点、9.9リバウンド、1.9ブロックの活躍を見せ、2024年ドラフト全体14位指名でヒートに加入した。213cmのサイズに跳躍力と機動力を兼ね備え、身体能力は申し分のないが、シーズン序盤は大学とNBAのレベルの違いへの適応に苦戦。開幕1カ月はわずか数分の出場に終わる試合が続き、12月には傘下のGリーグチームへと送られた。
だが、そのGリーグ行きが転機となった。Gリーグでじっくりとトレーニングを積むことでNBAへのアジャストが進むと、ヒートに戻った12月中旬以降は出番を増やしていく。そして1月に入ると2日のペイサーズ戦と19日のスパーズ戦で25得点を記録。このブレイザーズ戦ではNBAで初の先発出場を果たし、20得点15リバウンドと攻守に活躍した。1月の月間成績では、ここまで平均20分以上のプレータイム、2桁得点と主力の一員になっている。
試合終了後、ヒートの指揮官エリック・スポールストラは、キャリア初の先発出場で期待に応えたウェアについて「リバウンド、そしてリム周りのディフェンスもとても良かった」と称えた。
指揮官はこれからもウェアの出場機会を増やしていきたい考えだ。「彼はこれから良くなっていくだろう。彼はアタックすべき時、そうすべきではない時、壁役になる時を分かっている。ペイント内でのパスキャッチができればもっと良くなる。彼の成長ぶりは明らかで、とても頼もしいよ。今回は先発だったが、どんな起用法であれ多くの出番を与える必要がある」
そしてウェア本人は、「NBAの試合で先発でプレーすることは、これまでの人生を通して待ち望んでいたこと。ただ、もちろん試合には常に勝ちたい。大切なのは勝つことで、他に何か言うべきことはないよ」と冷静に振り返っている。
ウェアの出番が増えることで楽しみなのはバム・アデバヨとの同時起用による相乗効果だ。相手のセンターをウェアがマークし、ゴール下での負担を減らすことでアデバヨは複数のポジションを守れるリーグ屈指の器用さがより生きる。実際、128-107で快勝したスパーズ戦では、ウェアとアデバヨの同時起用が試合の流れを変えるきっかけとなった。
シーズン序盤の苦戦ぶりを考えると、今ここでウェアが大器の片鱗を見せていることはヒートにとってうれしい誤算と言えるものだ。そして、ウェアの成長ぶりが、バトラーを放出する場合の交換要員にどんな影響を与えることになるのか興味深い。