CJ・マッカラム

45得点の大活躍でオーバータイムの末にジャズを撃破

ペリカンズはブランドン・イングラムが足首のケガで1カ月以上戦線離脱しており、ザイオン・ウイリアムソンがようやく復帰しても、休養を十分に挟みながらのプレーとなっており、現地1月20日のジャズ戦ではイブ・ミッシとともに体調不良で欠場した。トレードデッドラインを前にチームは解体の決断を下す寸前で、モチベーションを保つのは難しい。

さらに言えば、ルイジアナ州には滅多にない寒波がやって来ており、州知事が緊急事態宣言をする状況下で、西カンファレンスの最下位とその一つ手前のチームの対戦とあって、多くのファンがアリーナに行くのをあきらめ、観客席はガラガラだった。

そんな状況で100%以上のパフォーマンスを見せたのがCJ・マッカラムだ。年末に2試合連続で30得点ゲームをやった後、現地1月3日のウィザーズ戦では50得点を記録。今回のジャズ戦ではフィールドゴール31本中18本成功の45得点、8リバウンド4アシスト3ブロックで、チームを延長での勝利に導いた。

チームは勝てずに目標を見失い、主力の多くが欠場。第1クォーターを19-38と圧倒されて、第2クォーター序盤には最大25点のビハインドを背負った。あきらめても無理のない状況から逆転勝利を実現した不屈のメンタルはどこから来ているのだろうか──。「これが僕の仕事なんだ」というのがマッカラムの答えだ。

「ただ毎日バスケットを狙っているだけだ。大変な状況だけど、ひたすら泳ぎ続けるしかない。しっかり練習をして毎日を有意義に過ごす。昨日は友達と楽しく過ごした。身体をケアし、家族を大切にし、赤ん坊のオムツを取り替えて、息子や妻と公園に出掛けて、日々自分が何のためにプレーしているのかの視点を忘れないようにしている。良い時も悪い時もあるけど、僕がやるべき仕事は変わらない。アプローチも、規律も、犠牲も、成功のために注ぎ込まなければならないものも全部同じなんだ」

45得点でチームを勝利に導いたこの日でさえ、自分のアプローチは変わらないと彼は言う。「45点取ったけど、ワイドオープンを外したし、レイアップも落とした。スイッチから得点されてもいる。だからもっと上手くならなきゃと思うよ。自分の才能を生かして大好きなスポーツでメシが食えることを当たり前だと思わず、そのチャンスを生かすんだ」

マッカラムは2013年にトレイルブレイザーズに指名され、デイミアン・リラードと組んでNBA優勝を目指して戦ってきた。そのコンビが解消されてトレードされた先がザイオンと有望な若手の揃うペリカンズで、新しい環境で再び高いレベルを目指せるはずだったが、チームは上手くいかず、解体寸前の状況にある。今のマッカラムは33歳。キャリアの成熟期を弱いチームで無駄にしているとも言うべき状況だが、彼にネガティブな感情はない。

「神様は僕にこのスポーツをやる才能を与え、それを最大限に生かす環境を与えてくれた。小さなケガはいくつかあったけど、大きなケガは一度も経験せずにここまでやれている。トレーニングや体調管理はメンタルや知識がカギとなる。僕のプレーは年齢を重ねても衰えないと思っている。多分、40歳になってもジャンプシュートは落とさないよ」

そして45得点で勝ったこの日も、彼はチームメートの奮闘を称えた。「ホーク(ジョーダン・ホーキンス)はベンチから18得点、アグレッシブなプレーで流れを引き寄せてくれたよね。カルロ・マトコビッチのハッスルも素晴らしかった。彼らだけじゃない。今日の勝利に必要なことを全員がやってくれた結果だ」

これでペリカンズは4連勝となったが、マッカラムに浮かれた気分は一切ない。「僕らは5勝するのに2カ月かかった。言いたいことは分かるよね? 潮が満ちては引くように、調子にはアップダウンがある。連敗も連勝もある中で、練習で教えられたことを磨き、身体をケアして、自分の視点を常にチェックし続ける。そうやってポジティブな日々を積み重ねるのが大事なんだ。次の試合のことはあまり考えない。今から家に帰って吹雪の夜を楽しもうと思う。明日は息子と雪遊びができたらいいな」