強烈なプレッシャーで相手エースを追い込む守備が武器
ロケッツのアメン・トンプソンはハードなディフェンスが売りの2年目で、12.9得点、7.8リバウンド、2.5アシストとエースではないものの堅実な活躍でチームに貢献しています。3ポイントシュートが苦手なことは現代バスケにおいては弱点扱いされて起用しにくくなりがちですが、1月のプレータイムは39.2分とチームで最も長くなっており、それだけの価値を感じさせる働きを見せています。
ビッグマンのジャバリ・スミスJr.の離脱を機にスターターに据えられたアメンは、コーナーやエンドライン際にポジショニングし、タイミングの良いカットプレーによりインサイドで得点を重ねるようになりました。加えてピック&ロールでロールマンの役割もこなし、スクリーンからリングへダイブし、得点だけでなくキックアウトパスでの展開ももたらしています。201cmとサイズでは勝てなくても体幹の強さを生かし、見事にビッグマンの代役をこなしています。
そうかと思えばフレッド・バンブリートがベンチへ下がるとポイントガードへと役割を変えます。ディフェンスリバウンドから力強くボールをプッシュしてトランジションを作り、ハーフコートではテンポ良くボールをさばいてプレーの起点となります。ウイングに回れば力強いドライブで切り裂くこともでき、どのポジション、どの役割もこなす万能さが際立っています。
本職とも言うべきディフェンスでは、いまやアメンのディフェンスを避けて攻めるのがロケッツ対策のセオリーといえるほど、強烈すぎるプレッシャーで相手エースを追い込みます。ただし、マンマークを避けられたとしても、ヘルプディフェンスで再び襲い掛かってくるのがアメンの怖さです。オフェンスだけでなくディフェンス面でもガードからセンターまで守れてしまう万能さで、激しい守備を売りとするロケッツディフェンスの核になってきました。
3ポイントシュートを有効に活用し、スペースを生み出すことが重要な現代バスケの戦術において、シュート能力が欠点の選手は起用しにくいものです。しかし、アメンは抜群の身体能力とスキルを活用し、攻守両面でガードからビッグマン役までオールラウンドにこなす特殊なタイプとして、常にコートに出しておきたくなる稀有なプレーヤーとして成長を続けています。