キングス

ハンドラー過多でもボールをシェアしてパスを回す

マイク・ブラウンを解任し、ダグ・クリスティを暫定ヘッドコーチとしたキングスは直近の9試合で8勝を挙げ、21勝20敗と勝率5割を超えてきました。セルティックスやロケッツ、グリズリーズといった上位チームにも勝ち、指揮官交代が単なるショック療法以上の効果を出しています。

前ヘッドコーチのマイク・ブラウン体制で問題だったのは、主力のプレータイムが長すぎることでした。特にマリーク・モンクをスターターに据えてからは、スターター全員が30分以上プレーしており、ハイペースなオフェンス志向のスタイルとしては難しいものがありました。クリスティは起用法に大きな変化は起こしませんでしたが、代わりに練習の負荷を落とし、休養を十分に取って試合に臨むことを優先しました。

その成果は後半の成績にはっきりと出ています。それまでオフェンスレーティングは前半の116.5に対して後半は112.8まで落ちていましたが、この9試合は後半119.3、特に第4クォーターは133.6と、両チームに疲労が出てくる時間帯にオフェンスが爆発しています。これはクラッチタイムの強さで勝ち切っていた2年前の姿を思い起こさせるものです。

運動量が落ちないことでパスも回るようになり、ドマンタス・サボニス、ディアロン・フォックス、デマー・デローザン、モンクのハンドラー4人で35回もボールタッチの回数が増えました。今シーズンはデローザンを補強したものの、ボールは1つしかなく、さらにモンクもスターターに加えたことで、ハンドラー過多で効果的なバスケができていなかったのですが、ボールをシェアするようになったことで相手からすれば守りにくいオフェンスへと変化しています。

スターターのプレータイムが長すぎる問題は解決しておらず、オフェンス志向の戦い方にも変化はありません。しかし、エネルギー十分で試合に臨み、コート上ではプレーシェアが進んだため、最後まで戦い抜けるチームに変貌しました。キーオン・エリスやデビン・カーターのハッスルプレーも際立つようになり、勝ちパターンを確立させてシーズン後半戦に入っていきます。