ペイサーズ

ハリバートンのケガを全員バスケで乗り越えて逆転勝利

ペイサーズは昨シーズンのNBAカップでファイナルに進み、その勢いを駆って東カンファレンス6位でプレーオフに進出。カンファレンス・ファイナルまで勝ち上がる大躍進を見せた。しかし、若いチームは一気に伸びる爆発力はあっても安定感を欠く。今シーズンは開幕戦で勝利した後に3連敗、そこから年末まで借金生活が続いた。

主力のほとんどは残留し、同じプレースタイルを採用しているにもかかわらず結果が出ないことで、誰もが悩んでいた。12月、アンドリュー・ネムハードは「本来出すべきエネルギーが出せず、攻守の強度で相手に負けている。それが分かっているのに修正できない」と苦しい胸の内を語っていた。

NBAカップではグループリーグ敗退。ただ、そのおかげで現地12月9日からの2週間で試合が3つしかなく、心身をリフレッシュさせて再スタートしたことでチームは好転し始めた。この1カ月で12勝3敗、現地1月12日には東カンファレンスで最強を誇るキャバリアーズに108-93の完勝を収めた。

前半終了時点で40-53と負けており、さらに司令塔のタイリース・ハリバートンが左のハムストリングに張りを感じて後半はプレーしないことに。しかしこのピンチに主力もベンチメンバーも奮起し、キャブズを圧倒し始める。後半最初の2分間で45-60と15点まで差が開いたが、ここから32-7のランで試合をひっくり返した。

普段はハリバートンがプレーメークを担当し、彼が厳しくマークされればネムハードがその役割を引き継ぐ。今回はネムハードがプレーメークを担当し、ベン・シェパードがサポートに回ることでボールを動かした。そこからオビ・トッピンやベネディクト・マサリンが力強いアタックで得点を重ねていく。

キャブズはドノバン・ミッチェルのシュートタッチが不調。それでも人とボールがよく動いてチャンスを作るが、3ポイントシュートが第3クォーターは6本中成功なし、第4クォーターは11本中2本成功と全く当たりが出ない。一方のペイサーズは第4クォーターもオフェンスが好調で、ネムハードが11得点を奪ったのに加え、インサイド陣はパスカル・シアカムやジェレス・ウォーカーが好プレーを連発。残り3分を切ったところでキャブズに主力を下げさせ、その連勝を12で止めた。

この逆転勝利を生んだ要因はキャブズを後半40得点に抑えたディフェンスとリバウンドでのハードワークにある。それを象徴したのが、ベンチからの出場で8得点12リバウンド2スティール1ブロックと攻守にエネルギー満点の働きを見せたジェレス・ウォーカーだ。パワーフォワードのポジションにはパスカル・シアカムにトッピンがいて、2年目のウォーカーはプレータイム確保に苦労しているが、この日は自分のハードワークがハマり、「ディフェンスとリバウンドが試合を変えた」と胸を張る。

「絶対に屈しないブラック・メンタリティで、バックコートでフルコートプレスを掛け、そこからチームが連動して守れた。普段よりもずっと上手くコミュニケーションが取れていたから、相手の仕掛けをことごとく打ち破ることができた」とウォーカーは言い、リバウンドについてはさらに饒舌になる。「相手には非常にレベルの高いリバウンダーが2人いる(エバン・モーブリーとジャレット・アレン)からこそ、セカンドチャンスを与えないことが勝敗のカギになるのは分かっていたよ」

ウォーカーはこう続ける。「今日の出来には満足している。もっとやれることはあるけど、僕はいつもすべてのエネルギーをコートに置いていこうと考え、今日は本当にハードにやれた。だから良いインパクトを残せたんだと思う」

ハリバートンがケガをしたにもかかわらずキャブズに逆転勝利を収め、これでペイサーズは6連勝。シーズン序盤は苦しんだものの、ここに来て若きペイサーズは勢いを取り戻している。