過小評価を覆すグリズリーズのウェルズ&イディー
セブンティシクサーズは、12月中旬に左膝の半月板断裂で戦線離脱となったジャレッド・マケインが手術を行い、今シーズン中の復帰はないことを明らかにした。
1巡目16位指名を受けてシクサーズに加入したマケインは、主力にケガ人が続出するチームを支える奮闘を見せ、23試合に出場して15.3得点、2.4リバウンド、2.6アシストを記録していた。
手術を回避して今シーズン中の復帰を目指す方法もあったが、中長期的なキャリアを考えて手術を選択。これはケガを負った時点で指揮官ニック・ナースが語った言葉と一致している。「素晴らしい活躍を見せていただけにケガは残念だ。一度しかないルーキー・オブ・ザ・イヤーの機会は逃すかもしれないが、長いキャリアを大局的に見て回復を優先させたい」
ケガをするまでマケインが最有力候補と見られていたルーキー・オブ・ザ・イヤーは大混戦となっている。NBAドラフトでの全体1位指名のザッカリー・リザシェイはホークスのスタメンに定着して10.9得点、3.5リバウンドを記録しているものの、大きなインパクトを残しているわけではない。
全体2位指名のアレックス・サーはウィザーズの先発を務めながらも役割が定まらず苦戦していたが、12月に入ってから現地1月5日のペリカンズ戦まで12試合連続で2桁得点と調子を上げつつある。ここまで31試合に出場、11.7得点、6.5リバウンド、2.3アシストを記録している。
グリズリーズのルーキー2人も候補に入ってきそうだ。層が厚いチームとは言えない上に主力にケガ人が相次ぐ中、フォワードのジェイレン・ウェルズは37試合すべてに出場し、32試合で先発を務めて11.8得点、3.5リバウンド、1.7アシストを記録。センターのザック・イディーはブランドン・クラークに続く2番手のセンターとして23試合に出場(先発16試合)、10.6得点、7.7リバウンドを記録している。イディーは1巡目9位指名で、サイズはあっても俊敏さもスキルも足りずに即戦力ではないと見られていた。ウェルズは2巡目39位指名の選手。各ポジションにケガ人を抱えながらグリズリーズが西カンファレンスの上位に食い込んでいるのは彼らの過小評価を覆す活躍があってこそだ
ペリカンズに1巡目21位で指名されたイブ・ミッシもサイズとパワーはあってもまだ粗削りで、即戦力とは見なされていなかったが、主力が揃って長期欠場して全く勝てないペリカンズで37試合に出場(先発31試合)と十分な出場機会を得て、9.2得点、8.4リバウンドと自らのポテンシャルを存分に発揮している。
マジックに1巡目18位で指名されたトリスタン・ダ・シルバは、層の厚いチームでどれだけ出場機会を得られるか不透明だったが、エースのパオロ・バンケロが開幕早々に離脱したことでいきなり先発スモールフォワードに抜擢された。34試合出場(先発27試合)で8.9得点、3.9リバウンドを記録。バンケロが復帰すれば出場機会は減るだろうが、グリズリーズの2人同様にエース不在の穴をルーキーの彼が埋めることで、チームが上位に食い込んでいるのは素晴らしいことだ。
チームの好調に貢献しているという点では、サンダーのエイジャイ・ミッチェルを挙げるべきだろう。若いチームであっても各ポジションに実力者が揃う層の厚いサンダーにおいて、2巡目38位指名のミッチェルが自分の居場所を確保しているのは驚くべきことだ。34試合に出場し、16.5分の出場で6.4得点、1.7アシスト。スタッツは目立たないものの、2年目のケイソン・ウォレスとともにシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのバックアップを務めている。西カンファレンス首位を独走する実力を持ちながら、今後数年に渡って使い切れないほどの指名権を持っているサンダーが、2巡目で即戦力を掘り当てるのだから、ライバルチームにとっては真の脅威と言える。