米須玲音

「入りから気持ちで相手に負けてしまったのが一番の敗因」

14日、川崎ブレイブサンダースはホームで仙台89ERSと対戦。立ち上がりから仙台の強度の高いプレーに後手に回り、そのまま盛り返すことができず61-82で大敗を喫した。

川崎は序盤から、仙台の前からの激しいプレッシャーディフェンスと徹底したハッスルバックで、持ち味であるトランジションを防がれる。仙台の好調は第2クォーターも続き、このクォーターだけで4スティールを奪うなど、堅守からの走る展開でイージーシュートの機会を多く作り出す。3ポイントシュートも高確率で沈められた川崎は、29-46と大きく突き放されて前半を終える。

後半も仙台が主導権を握る展開は変わらず。川崎は何度かトランジションから得点を挙げて巻き返しを狙うも、ネイサン・ブースを軸に効果的に得点を重ねた仙台が、第3クォーター終了時点で22点の大量リードを奪う余裕の展開で楽々と逃げ切った。

川崎のロネン・ギンズブルグヘッドコーチは、「今日は試合を通して自分たちのやりたいことが全くできなかったです」と完敗を認め、メンタル面で大きな問題があったと語る。

「仙台さんのほうが今日の試合に勝つ意思が強かったです。相手はディフェンスでしっかりプレッシャーをかけ、オフェンスではアグレッシブにアタックしていました。自分たちはその逆で全くできていなかったです。戦術うんぬんの前に意志の弱さが出たと思います」

川崎の注目ルーキー米須玲音はこの試合、16分17秒出場で2得点も4アシスト3スティール。大敗のチームにあって存在感を示した。だが、本人にとっては反省しきりの試合だった。「入りから気持ちで相手に負けてしまったのが一番の敗因だと思います。最終的には点差も離されて、悪い流れで終わってしまったのは良くなかったです」

こう試合を総括した米須は、「自分も気持ちのところで負けてしまいました」と悔いる。「もっと気持ちを作って試合に入っていれば、こういう展開にはならなかったです。自分が交代で入って流れを作らないといけないと思いながらプレーしていますが、今日はアシスト、トランジション、得点のところでやりきれなかったのが反省です」

米須玲音

「明日はしっかりと勝負していきたいと思います」

前回1229日に行われた茨城ロボッツ戦、米須は2226秒出場で3得点も10アシストと大暴れだった。だが、この活躍によって皮肉にも仙台は準備が容易になった。落合嘉郎ヘッドコーチは、「僕らにとって茨城戦の試合が良い教材となりました。周りの選手を生かす米須選手の一番良いところが出た試合を見ることができたのは良かったです」と明かす。

仙台の厳しいマークの中、米須は4アシスト以外にも何本か味方にオープンシュートを打たせるパスを供給しており、あと2本、3本とアシストが増えてもおかしくなかった。だが、本人は「最後のほうは点差が離れていて、相手もそこまでタフに守っていなかったので空いていたところはあると思います」と語り、リベンジでの意欲を続ける。

「やっぱり前半、ディフェンスの圧がかかっている中でも、オープンでシュートを打たせるプレーを増やしていかないといけないです。明日はしっかりと勝負していきたいと思います」

今日で米須は今シーズン3試合目の出場だが、この起用法を見ると早くもローテーションの一員になったと言える。チームに合流してからまだ日が浅く、これから試合、練習を重ねることで周囲とのコンビネーションが大きく向上し、ピンポイントパスによるアシスト量産に期待が高まる。

だが、本人は現状についてしっかりと足元を見つめている。大学時代と大きく違う相手のサイズ、リーチの長さについて、「パスを出せている部分は多くて、今のところは壁を感じていないです」と語ると同時に、「ただ、これから先に試練を味わうことになると思います。そこはしっかり経験を積んで、慣れていければと思います」と話し、相手の対策が進むことで困難に直面する心構えはできている。

また、自身の持ち味であるパスをより生かすためにも、オープンシュートを決め切る大切さをしっかり理解している。「スカウティングされる中で、(相手は外から)自分に打たせて良い守り方をすると思っています。今日は2本プルアップを打って外してしまいましたが、そこで決めていけば相手は守りづらくなっていきます。個人的にシュートを狙う意識は徐々に高くなっていると思います」

米須本人にとって、この大敗は反省しかない不本意な内容だった。だが、ガード陣で彼が最もチャンスを生み出していたのは間違いない。川崎2025年最初の勝利へ向け、米須は即戦力ルーキーとして早くも大きな期待を寄せられている。