橋本芽依

「プレッシャーはありましたけど、私たちは私たち」

ウインターカップ2024の女子決勝、京都精華学園は慶誠との熱戦を59-54で制し、史上2校目となる大会3連覇の偉業を達成した。

キャプテンを務め抜群の勝負強さを誇る司令塔の林咲良、ディフェンスの要である桃井優ととも共に、不動の先発かつチームを支える3年生として優勝に貢献したのが橋本芽依だ。2年生から先発を担ってきた橋本の持ち味は3ポイントシュートだが、今大会はなかなか思うように決まらず苦しんだ。そんな中でもベスト8の鵬学園戦(65-62)、ベスト4の精華女子戦(72-70)では、ともに要所で長距離砲を沈めて役割を果たした。

昨年の京都精華学園には1年生から主力を務めていた堀内桜花、八木悠香と個で打開できる2枚看板がいた。彼女たちが卒業しタレント力が低下したと言われる中、橋本は「3連覇のプレッシャーはありましたけど、私たちは私たち」と過去のチームと比較することなく、ベクトルを自分たちに向け続けた。

その結果、今年の京都精華学園に生まれたチームカラーとは『全員バスケ』だ。優勝決定後のオンコートインタビューで橋本が、「みんなで一緒に頑張って勝つことができてとてもうれしいです」と語った通り、決勝戦ではガベージタイムがない激闘の中で13名がコートに立った。

「1学年上にも2学年上にもいたすごい先輩たちの背中を見てきました。飛び抜けたすごさは私たちにはなくて、それでも勝つには校長先生(山本綱義コーチ)についていくことです。最後は根性というか、やるべきことをやりきることに取り組んできました」

このやるべきことはチームの根幹ディフェンス、ルーズボール、リバウンドであり、これを最後まで集中して継続したことが日本一の栄冠をもたらした。傑出した個の強さはなくとも抜群の結束力があり、それがインターハイとウインターカップで接戦に勝つ続ける粘り強さに繋がった。そこには「気持ちの部分で負けてしまうと、最後の競った部分で負けてしまうと思います。チーム全体で、気持ちでは絶対に負けないことを常に意識していました」と橋本が語る『根性』、つまりはメンタルの強さも大きかった。

また、橋本個人でいえば、3ポイントシュートだけでない総合力の高さも示している。シュートタッチが悪い時でもルーズボールなどハッスルプレーでチームを支え、オフェンスでは効果的なドライブからの得点、チャンスメークでチームを救った。ただ。同時にシューターとしてのこだわりはあり、さらなる進化にも貪欲だ。「優勝はしましたが、個人的にはシューターとして決め切る部分はまだまだです。次のカテゴリーではもっと3ポイントシュートの精度を上げて、シューターとしてもっと貢献していきたいです」

新たなステージでは、今回のウインターカップでも光ったドライブ、タフなディフェンスに加え、代名詞である3ポイントシュートの決定力を高め、より相手に脅威を与える選手への成長が楽しみだ。