「苦しい時こそ、チームの結束を強めて全力で戦う」
レイカーズは10勝4敗と好スタートを切った後、開幕から1カ月が経過した途端に魔法が切れたようにインテンシティを維持できなくなった。エネルギー不足は主にディフェンスに表れ、不甲斐ない3連敗を喫した後、スパーズを倒して一息ついた。
こうして迎えた現地11月29日のサンダー戦、インシーズン・トーナメントでノックアウトラウンドに進むには勝利が必要な試合で、レイカーズのディフェンスは復活する。しかし、サンダーの勢いを止めるには不十分だった。互いにディフェンスがオフェンスを上回るロースコアの展開で上回ったサンダーが101-93で勝利している。
サンダーは昨シーズンも今シーズンここまでも西カンファレンスの首位だが、レイカーズは昨シーズンに3勝1敗と勝ち越しており、相性は良かったはず。だが、ディフェンスが強調される試合展開の終盤にクラッチ力を発揮したのはレブロン・ジェームズでもアンソニー・デイビスでもなく、サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーだった。
サンダーが1点をリードして迎えた残り2分からの攻め。シェイはマックス・クリスティの正面から3ポイントシュートを放ってこれを決める。両チームとも打っても打っても決まらない展開だっただけに、この一発の価値は大きかった。その直後、ポジション争いの中でケイソン・ウォレスが転倒し、レブロンがオープンで3ポイントシュートを放つも決まらず。クリスティがセカンドチャンスから難しいシュートを押し込んで2点差とするが、これが最後の反撃だった。
ファウルゲームを問題なく乗り切ったサンダーが最終スコア101-93で勝利。シェイはゲームウィナーとなったシュートを「それほど難しいものじゃなかった」と語る。「オフの期間を通じて、こういったシチュエーションを想定してシュートを打ってきた。NBAには世界最高の選手が集まり、世界最高の戦術が遂行されるから、いつもフリーでシュートが打てるとは限らない。だから、ああいったタフショットも決められるように練習を積み重ねてきた。あのシュートは僕が続けてきた努力の成果だ。これからも自分を信じて打っていくよ」
サンダーにとって最高のパフォーマンスというわけではなかった。フィールドゴール成功率40.9%、3ポイントシュート成功率は32.5%と低調で、気持ち良くプレーできたわけではない。「長いシーズンには好不調の波がある。上手く行かないことだってたくさんある。この2試合を通じてオフェンスは上手く行っていない。ただ、だからと言って僕たちはあきらめない」とシェイは言う。「そういった試合で勝つチャンスを得るには、ディフェンスを固めるんだと分かっているからだ。苦しい時こそ、チームの結束を強めて全力で戦う。それが今日勝てた理由だ」
キャリア7年目を迎えた26歳のシェイは、これからキャリアの全盛期を迎えようとしている。昨シーズンにはオールNBAのファーストチームに選出され、リーグを代表するスター選手の仲間入りを果たした。これから真のスター選手となるには2つの条件をクリアしなければならない。このレベルのパフォーマンスを続けること、そしてチームに成功をもたらすことだ。
それでも今の彼は才能に溢れ、健康でプレーでき、なおかつサンダーもチームとして充実期を迎えている。レブロンやステフィン・カリーの時代が終わる時、彼らに代わって『NBAの顔』となる筆頭候補の一人が、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーであることに異論はないはずだ。