指揮官ポポビッチ、バッセルとソーハンを欠いても連勝
現地11月26日のスパーズ戦を終えて、ジャズの指揮官ウィル・ハーディ-は「もう対戦がないと思うと寂しいよ」とジョークを言った。両チームは今シーズン4度の対戦をすべて終え、スパーズが3勝を手にした。スパーズはここまで10勝のうち3つをジャズから巻き上げている。つまり、ハーディーの言葉は皮肉だ。
128-115でジャズを破り、スパーズはこれで4連勝。ビクター・ウェンバニャマはウォーカー・ケスラーが必死でマークしても止められない。ペイントエリアでは柔らかな動きでかわされ、外に引っ張り出されて3ポイントシュートを打たれ、クリス・ポールとのピック&ロールへの対応は何をするのか正解なのか最後まで分からなかった。
特にウェンバニャマの3ポイントシュートは対応が難しかった。フィールドゴール23本のうち14本が3ポイントシュートで、うち6本を決めている。トップの位置、3ポイントシュートラインの2歩手前から軽く放ったディープスリーがリングを射抜いた時、3ポイントラインにポジションを取っていたケスラーは天を仰いだ。
それでもジャズは、苦しい中でもセカンドチャンスポイントを生かして踏ん張り、第4クォーター開始時点では3点ビハインドの接戦を演じていた。その闘志を断ち切ったのは、第4クォーター開始から約1分後に起こった一連のプレーだ。
両チームともミスが続いてバタバタする流れを、クリス・ポールが落ち着かせる。ウェンバニャマとのパス交換からポールが放ったシュートは外れたが、サンドロ・マムケラシュビリが腕を伸ばしてディフレクションし、こぼれたボールにブレイク・ウェスリーがダイブして繋ぐ。ジュリアン・シャンペニーの3ポイントシュートも外れるが、ロングリバウンドはポールの手へ。ポールの3ポイントシュートはブロックを狙うケスラーの指先に触れてショートとなるが、ここでもいち早くリバウンドを押さえたウェスリーのキックアウトからマムケラシュビリの3ポイントシュートが決まった。
暫定でチームの指揮を執るミッチ・ジョンソンは「得点以上の価値があるビッグプレーだった。これでチームの士気は高まった」とこのシーンを振り返る。マムケラシュビリも「逆の立場になったこともあるけど、本気でキツいものだった」と語る。
全員がハードワークに徹するスパーズは、ここで引き寄せた流れを明け渡すことなく128-115で勝利している。名物指揮官であるグレッグ・ポポビッチが病気療養中で、さらには主力のデビン・バッセルとジェレミー・ソーハンをケガで欠いているが、その影響は全く感じさせない。
ウェンバニャマは34得点7リバウンドを記録。そのオールラウンドな能力の使い方が今まで以上に洗練されたことで、安定して活躍できるようになっている。そしてチームは第4クォーターに強さを発揮できるようになってきた。この試合の第4クォーターは32-22とジャズを圧倒。ウェンバニャマは2得点1リバウンドとスタッツは残さなかったが、得失点差でチームハイの+14を記録している。
「成長を感じられるよ。昨シーズンも自信を持ってプレーしていたけど、今はより多くの知識を得て、自信は大きくなっている。それはたくさん失敗してきたからでもあるけど、失敗と呼べない小さなミスからも僕らは学んできた」とウェンバニャマは言う。
3日前には最強のクラッチプレーヤーであるステフィン・カリーを擁するウォリアーズ相手に第4クォーターを33-13と圧倒して逆転勝ちを収めた。スパーズにはこれまでにはない自信を身に着けている。