アンソニー・デイビス

マジック相手にファウルゲームからまさかの逆転負け

試合終盤のファウルゲームは珍しいことではないが、負けているチームが残りわずかな時間での挽回に懸ける窮余の策であり、功を奏する確率は極めて低い。勝っている側がフリースローを失敗した上で、自分たちがすぐに点を取らなければならないのだから、成功率が低いのは当然だろう。しかし、レイカーズvsマジックの終盤、レイカーズはフリースローを落とし、マジックは土壇場のクラッチシュートを決めた。

両チームの攻防は一進一退となり、第3クォーター序盤と第4クォーターの序盤にレイカーズが2度突き放すが、マジックはそのいずれも自慢のハードなディフェンスで流れを渡さずに食らい付く。117-114とレイカーズが3点リードで迎えた残り27秒、フランツ・バグナーの3ポイントシュートが外れた瞬間にマジックはファウルゲームに行った。アンソニー・デイビスがフリースロー2本のうち1本を決めて、即座にバグナーがレイアップを沈めて118-116に。

続いてもファウルゲームでデイビスのフリースロー。ここで彼は目を閉じ、心を落ち着けてからフリースローを放つも、2本とも外してしまった。残り18秒、ボールを持ちあがったバグナーがキャム・レディッシュの目の前から3ポイントシュートを放ち、これを沈めた。119-118、大逆転でのマジックの勝利だった。パオロ・バンケロの戦線離脱を受けてエースの重責を担うバグナーは37得点11アシストを記録して、勝利の立役者となった。

しかし、フリースローの失敗さえなければレイカーズが逃げ切る展開だった。残り18秒からのファウルゲームで4本中3本を落としたデイビスは屈辱に打ち震えていた。『LA TIMES』によれば、試合後のロッカールームでのデイビスは茫然自失で、アイスバスのタイマーが鳴っているにもかかわらず、足を氷水に漬けたままだったという。

「最後の3本のフリースローを外し、3ポイントシュートで逆転された。僕のフリースローは試合に決着を付けるものだったのに、それを外してしまった」とデイビスは言う。「どんな負けも悔しいけど、自分がフリースローを外して負ける試合はなおさら悔しい」

39得点9リバウンドのデイビスは、本来ならば勝利の立役者だったはず。フリースローにしても、ラスト3本を外すまでは10本すべてを成功させていた。その奮闘ぶりを見ているだけに、レイカーズのどの選手も彼を擁護した。

オースティン・リーブスは「彼だけが外したわけじゃない。チームとして第4クォーターにフリースローを決められなかった。彼はチームのために大きな貢献をしている。それはフリースローを2本外したからと言って変わらないはずだ」と言う。レイカーズの第4クォーターのフリースローは9本中3本しか成功していない。デイビスが3本外した他、リーブスも2本をいずれも外し、レブロン・ジェームズも2本中1本を外している。

レブロンは言う。「48分間の試合でフリースローだけに敗因を押し付けることはできない。第3クォーターの出だしでリードを失ったことも大きな敗因だろう。もちろん、フリースローはもっと上手くやらなきゃいけない。僕らは勝てる位置にいたのに勝てなかった。だけど一番の敗因はフランツだよ。彼のプレーについては称えるしかない」

レイカーズはホーム8試合目で初の黒星。これまでホームで強かったことを彼らは誇りにしていただけに、フリースローのミスで連勝が途切れたことに傷付いている。それでもレブロンはこう言う。「いずれにしても、前に進むしかないよ」