停滞した攻めから速攻を浴びイージーシュートを許す悪循環
互いに残留プレーオフを避けたい横浜ビー・コルセアーズと富山グラウジーズの第2戦。横浜は得点源の川村卓也を封じられ、オフェンスの起点を作ることができず、同地区最下位の富山に連敗を喫した。
オン・ザ・コート数は横浜が「2-1-2-1」、富山が「1-2-1-2」を選択。だが昨日の試合から戦線復帰したジェイソン・ウォッシュバーンが本調子ではなく、ファイ・パプ月瑠が先発となった。
第1クォーターはジェフリー・パーマーが高確率でシュートを沈め、3本の3ポイントシュートを含む11得点を挙げる。ところが、活躍したのはパーマーただ一人。富山のアグレッシブなディフェンスの前にタフショットを強いられ、他の選手が得点を奪えず。パーマーの11得点がチームの総得点となってしまった。
第2クォーターに入り、細谷将司の8連続得点によって一時は逆転に成功するも、ここからオン・ザ・コート「2」の富山がデクスター・ピットマンのインサイドを強調したプレーを展開。強固な守りから速攻へとつないで点差を広げていく。
横浜はボールマンが激しいプレッシャーを受け、オフェンスセットに時間がかかってしまい常にショットクロックを気にする状態に。スクリーンピック後の展開が乏しく、攻撃が機能しなかった。
個々の奮闘で反撃する横浜だがチームとして機能せず
迎えた第3クォーター、横浜が立ち直るより先に、富山がさらに勢いを増す。オフェンスではインサイドで起点を作り、周りの選手が連動してイージーシュートのチャンスを次々と作り出す。ディフェンスでは前半と同様に、ボールマンへのプレッシャーを強めインサイドへの侵入を防ぎ、ターンオーバーから速攻を繰り出した。
横浜はパプのオフェンスリバウンドや竹田謙の3ポイントシュートなど、個々の奮闘で追いすがるが、川村への警戒は緩むことなく、チームとしての連動が出てこない。ノーマークのシュートを落としたり不用意なターンオーバーを犯すなど、流れを引き寄せることができなかった。
15点差で迎えた第4クォーターも横浜の苦戦は続く。ピットマンにオフェンスリバウンドから連続でバスケット・カウントを許し、岡田優にカットからジャンプシュートを決められ点差は20へと開く。
それでも細谷が前からプレッシャーをかけ、川村とのダブルチームで8秒バイオレーションを誘発。ウォッシュバーンがオフェンスリバウンドから得点を挙げるなど、ホームの観客の前で勝利への執念を見せる。だが、軽率なパスミスから得点を許すなど最後まで嚙み合わず、最終スコア60-80で富山に屈した。
川村封じの作戦が見事的中、会心の2連勝を挙げた富山
ヘッドコーチのボブ・ナッシュは「今日のゲームはディフェンスがすべて」と昨日の79から60へと失点を減らしたディフェンスを勝因に挙げた。その中身は徹底した川村対策だ。「川村からボールを早めに離させるのが狙いだった。彼に気持ち良くプレーさせないよう指示し、ビッグマンなどシュート力のない選手にボールを持たせた」と明かす。この作戦が的中し、第1戦では22得点を奪った川村をフィールドゴール成功なしの2得点と沈黙させた。
体調不良の青木勇人ヘッドコーチに代わり指揮を執った尺野将太アシスタントコーチは「ディフェンスにおいては走られ、相手の良いところが多く出てしまった試合でした」と敗戦を振り返った。
ペイントエリアで48点を奪われ(横浜は16点)、インサイドのオフェンスの内容の良し悪しがシュート成功率に直結。富山の55.9%に対し横浜は33.3%と低調だった。パーマーは21得点、細谷は20得点と川村が抑えられた分まで奮闘したが、「調子の良いパーマーと細谷を起点にどういうプレーをするのか、具体的なパフォーマンスで表現できなかった」と尺野アシスタントコーチは肩を落とす。
横浜はウォッシュバーン不在の4試合で1勝3敗と失速。ようやく復帰したこの富山戦で連敗を喫したのは大きな誤算だ。残留プレーオフの秋田ノーザンハピネッツ(この日はアルバルク東京に勝利)とのゲーム差がわずか1。次節、総合首位を走る川崎ブレイブサンダースとの『神奈川ダービー』で、是が非でも勝利が必要な状況に追い込まれた。
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