世界トッププレーヤーたちの姿勢に刺激を受ける
ポイントガードの層が手薄な今回の『FIBAアジアカップ2025予選 Window2』は、佐々木隆成(三遠ネオフェニックス)にとって日本代表における序列を引き上げる絶好のチャンスとも言える。
佐々木はパリ五輪の選考レースの第一歩にあたる5月のディベロップメントキャンプで、世代別代表を含めてキャリア初の日本代表候補にピックアップされた。そして7月初旬に12名の登録メンバーが決定するまでの期間を五輪代表候補として過ごし、五輪直前のヨーロッパ遠征および本戦もサポートメンバーとして代表チームに帯同した。
「自分にとってはプラスのことが多かった」と振り返る帯同期間について、佐々木は言葉を重ねた。「シュルーダー選手(デニス・シュルーダー=ドイツ代表)からは緩急の使い方やスキルなどを学ばされました。また、日本のトップのプレーヤーが試合前のロッカーでどういう風に準備し、どういう思いを持ってプレーをしているかを知ることができたのは、自分にとってすごくプラスになったんじゃないかなと思っています」
三遠の大野篤史ヘッドコーチが「今シーズンの佐々木は貪欲さがいっそう増している」と話していたと向けた報道陣の言葉に対しては、こう答えた。
「世界のトップの選手たちが、練習試合にもかかわらず前からプレッシャーをガツガツかけて、必死に40分間戦ってるっていう姿を見て、レベルは違えど僕らが飄々とやるようなことはあってはならない。ましてやブースターの皆さんを含め、たくさんの方が見に来てくださっている中でそういったプレーを見せてはいけないって感じて、以前よりもバスケットに真摯に向き合うようになったかなとは思います」
代表でも三遠でのプレースタイルを大切にしたい
代表活動を通してたくさんの学びを得た佐々木は、今シーズンのBリーグでも脂の乗ったパフォーマンスを発揮している。第8節終了時点で14試合すべてに先発出場し、平均アシスト数はB1トップ。チームも中地区首位にふさわしい圧倒的な強さを誇っている。
「今シーズンの三遠でのプレーを見て(代表に)呼んでもらってると思う」と話す佐々木は、代表チームにおいても大きくスタイルを変えることなく、自分の持ち味…早い展開を作ることであり、強気なドライブでペイントアタックすることであり、積極的にシュートを放つことにフォーカスすることを大切にしたいと話した。
今回直前合宿に招集された20名の候補選手のうち、ポイントガードは佐々木、富樫勇樹、中村拓人の3人のみ。もちろん同様の役割を担う別ポジションの選手はいるだろうが、佐々木のプレータイムはそれなりに長くなるだろう。
佐々木は代表デビュー戦となった6月のオーストラリア戦で、ケガの影響でわずか4分しかコートに立てなかった。繰り返しになるが、今回の招集は代表定着に向けた大きなチャンスとなりそうだが、本人は自分でコントロールのできない選考や、他者と比較しての自身の現在地についてはあまり考えないようにしているようだ。
「トムさんのバスケをやっていたのは2〜3ヵ月くらいですし、シーズン中はチームのことに集中していたので、また改めてプレーの確認をしているところです。プレータイムはトムさんが決めることなので、また一からのつもりでアピールして、プレータイムを勝ち取れるように頑張っていきたいです」
あくまで自分自身と向き合い、静かにステップアップを目指す佐々木がどのようなプレーを見せてくれるか、楽しみだ。