プレーオフ展望vol.3ラプターズvsマジック 大きな代償を払った改革の成果はいかに?

2019/04/13
NBA&海外
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カワイ・レナード

文=神高尚 写真=Getty Images

2位と7位でも、オールスター明けの成績はともに15勝8敗

フランチャイズプレイヤーのデマー・デローザンを放出し、カワイ・レナードを獲得したラプターズは、結果的には東カンファレンスで2位と昨シーズンから成績を落とし、プレーオフのファーストラウンドで難敵マジックを迎えることになりました。シーズンでの成績は2勝2敗と五分だけに、読めない対戦カードです。

シーズン成績は5割程度のマジックですが、オールスター明けの成績はラプターズと同じ15勝8敗と高勝率で、そのディフェンスの強さはリーグトップクラス。経験のあるベテランも多く、下位シードの中で最も侮れない存在になっています。

アーロン・ゴードンとジョナサン・アイザックのウイングコンビは、スピードと高さを兼ね備え、アウトサイドまで追いかける脚力と確実にリバウンドを奪い取る献身的なプレーで強固なディフェンスを支え、的確なポジショニングが光るニコラ・ブセビッチを中心にインサイドでのイージーシュートを許しません。

ベンチへと目を向ければ目立たない選手ばかりですが、ディフェンス力を評価されたような選手が多く、全員が集中力を欠くことなく簡単には得点を奪えません。その中でもシーズン終盤に加入したマイケル・カーター・ウィリアムスは、コート内を所狭しと動き回り、ガードながら長い手足を利用したディフェンスでチームに大きなアドバンテージをもたらしています。この「動き回る」のはディフェンスのポイントで、全体が連動したカバーリングで勝負する傾向があります。フリーでの3ポイントシュートを打たれる機会も多いのですが、最後まで粘り強く追いかけることでプレッシャーをかけ、シュートを落とさせることに成功しているのが好調の要因です。

レナード、『プレーオフで勝てるエース』の証明

ラプターズはシーズン中も積極的にトレードに動いたことで、シュータータイプがダニー・グリーンしかいなくなりました。アンセルフィッシュで鮮やかなボールムーブにより素晴らしいチームワークを発揮する一方で、思い切りの良いシュートが打てず、パスが回るにもかかわらずアウトサイドから得点が伸びない試合もあります。

またパッシングと3ポイントシュートに定評があるマルク・ガソルを加えたことで、ボールムーブは強化されたものの、インサイドで強みを発揮するビッグマンがいなくなり、オフェンスリバウンドにも不安が残ります。マジックのディフェンスとラプターズの3ポイントシュート成功率のどちらが上回るかが、シリーズの行方を左右しそうです。

マジックのオフェンスはオールスターに選ばれたブセビッチが中心で、そのスキルを武器に高さとフィジカルに優れた多くのセンターたちを困らせてきましたが、スピードで振り切られる可能性がないだけにガソルにとってはマッチアップしやすい相手でもあります。そのためマジックにとっても3ポイントシュートは大切な要素となり、シーズン中に多くのクラッチシュートを決めてきたエバン・フォーニエ、ラプターズ時代にもシックスマンとしてタフショットを決めていたテレンス・ロスには大量得点が求められます。

しかし、そこに立ちふさがるのがカワイ・レナードです。リーグ最高クラスのディフェンダーであることに加えて、『プレーオフで勝てるエース』と信じたからこそ、ラプターズは大きな代償を払ってまで獲得に踏み切りました。3シーズン連続でレブロン・ジェームスの個人技に粉砕されてきただけに、攻守にわたって別格の働きを見せるエースには絶大な信頼を寄せています。

ラプターズはコンディション管理のために主力を欠場させることも多く、それが理由で昨シーズンの勝率を下回ったのですが、すべてはプレーオフで勝つための準備です。目立ったケガ人もおらず、準備万端で迎えるだけにファーストラウンド敗退というストーリーは考えられません。

東カンファレンスのファーストラウンドで最も難しい対戦カードですが、優勝という目標だけを見据えてすべてを構築し直しただけに、ラプターズとしては圧勝で終えたいところ。プレーオフの弱さを払拭できたのか、まずは難敵マジックのディフェンスが試金石になります。