レブロン・ジェームズ

「車輪が壊れてまでプレーするつもりはない」

現地11月13日のグリズリーズ戦で、レブロン・ジェームズはゲームハイの35得点、さらに12リバウンド14アシストのトリプル・ダブルでレイカーズに勝利をもたらした。レブロンのトリプル・ダブルはこれで116回目。セブンティシクサーズ戦、ラプターズ戦に続いて3試合連続のトリプル・ダブルとなる。

レイカーズを率いるJJ・レディックは「彼はこのゲームを極めている。我々はレブロン抜きでは勝てない」とエースのパフォーマンスを称賛した。

レブロンは「まずはディフェンスから。そこから生まれるチャンスを生かすことを考える」と話す。「ここしばらくはそうやってきた。試合の流れや波といったものは理解しているつもりだし、僕にとっては何も目新しいことじゃない」

NBAキャリア22年目の39歳で、来月末には40歳の大台に乗るが、今もトップコンディションを維持している。ケガなくこの調子を維持できれば、『NBAの顔』として今シーズンもオールスターに選ばれ、プレーオフの舞台でも存在感を発揮するだろう。

レブロンは老いを感じさせない。ただ、それはスタッツ上でのことで、爆発的な運動能力にはさすがに翳りが見える。より正確に表現すれば、「セーブしながらプレーしている」と言うべきか。それでも彼の言葉通り、試合の流れを誰よりも理解しているし、そこに卓越したバスケIQを絡めることで、他に類を見ないプレーヤーとしてNBAに君臨していることに変わりはない。シーズンがもっと先に進み、いよいよ必要とされた時には、セーブせずに100%の力を出すことも可能だろう。

この夏にはオリンピックに参加して金メダルを獲得し、いつも通りのオフの準備ができなかったにもかかわらず、シーズン序盤のこの時期にこれだけのパフォーマンスを見せているのはレブロンにしかできないことだ。

ただ、彼自身は『終わり』が近付いていることを感じている。先日は『ESPN』の取材に対し、「車輪が壊れてまでプレーするつもりはない」と発言している。

それについてあらためて問われたレブロンは、こう答えている。「それはマインドの問題だ。マインド次第で身体の動きも決まる。正直に言うと、ここから長くプレーするつもりはない。あと1年か2年か、どうなるかは分からないけど、『車輪が壊れてまでプレーするつもりはない』と言った通りだ。ただコートに立つためにバスケを軽視するような男にはならない」

レブロンの影響力と性格を考えると、限界を感じたからと言って突然シューズを脱ぐことはないだろう。車輪が壊れる前、ガタが来ていると感じた時点でラストイヤーを宣言し、コービー・ブライアントがやったように引退行脚をして、彼を好きだった人にも嫌いだった人にも別れの挨拶をするはずだ。その時はいずれ訪れる。だが、まだまだ先であることを願いたい。