ディフェンスを軸にした手堅い試合運びを披露
4月10日、アルバルク東京がホームでサンロッカーズ渋谷と対戦。前半に21点の大量リードを奪い、そのまま逃げ切る危なげない展開だった。これで今シーズンの両チームの対戦成績は、A東京の6連勝で終わっている。
立ち上がりは互いに譲らず、残り2分半で11-11とロースコアの拮抗した展開となるが、A東京はここから守備の強度をさらに強め、SR渋谷のオフェンスのリズムを崩していく。残り2分からザック・バランスキー、ミルコ・ビエリツァの活躍による10連続得点でリードを奪う。
第2クォーター、SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「特に前半、東京さんのプレッシャーディフェンスに外へと追い出されてしまい、質の悪いターンオーバーが多すぎて向こうのペースになってしまった」と振り返るように、A東京はさらに守備で圧倒。SR渋谷のオフェンスをシュートで終わらせない回数が増え、そこからレイアップなどイージーシュートに繋いでいく。さらにこのクォーターだけで10得点を挙げたバランスキーなど、外角シュートも高確率で決めてSR渋谷を突き放し、前半を47-26の大量リードで終えた。
後半に入るとSR渋谷も長谷川智也の3ポイントシュートなどでリズムをつかみ、徐々に追い上げていく。第4クォーターにはこの試合で31得点を挙げたロバート・サクレを軸とした8連続得点で8点差まで詰め寄る。
しかし、ここでA東京は田中大貴の3ポイントシュートでSR渋谷に傾いた流れを断ち切る。あとは、手堅い試合運びでリードを守り、81-73で勝利した。
「常にハイレベルでプレーすることを意識する」
冒頭で触れたように、今日の結果により今シーズンの直接対決はA東京の6戦全勝と一方的な結果となった。ただ、そのうち3試合は3点差以内と接戦が多かった。だからこそSR渋谷の伊佐ヘッドコーチは「1勝、2勝を挙げるくらいの力はあるのに、勝たせてあげられなかったのは悔しいです。(61-62で敗れた)3試合目、拮抗した勝てるゲームをいなされたのが6連敗に繋がった」と振り返っている。
一方、A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは「渋谷は強いチーム。その相手に6連勝は素晴らしいこと」と語る一方で、後半に失速してしまったことへの反省を語る。
「我々は常にハイレベルでプレーすることを意識するチームです。それがいくつかの時間帯でパフォーマンスがガクッと落ちてしまった。それはあってはいけないので反省しないといけない。22点リードした後、ネガティブな意味でペースが変わってしまった。この点を修正して、残りの試合、千葉戦、北海道戦をしっかり戦うことがチャンピオンシップに繋がる」
「スポーツの神様は勝ちを狙って戦わない人々を見ている」
現状、A東京はワイルドカード上位の第7シードで連覇を狙うチャンピオンシップに挑むことがほぼ確実。そういう意味では、週末に行われる千葉ジェッツとの強豪対決も結果を問われるものではないかもしれない。
だが、竹内譲次はそうした見方を否定する。「千葉さんにはベストメンバーの時に勝っていないので、今週末の試合でどれだけ自分たちが自信を取り戻せるか。良いゲームができたら去年と同じような自信を持ってチャンピオンシップに臨めます。逆に2つ負けるようなことがあれば、本当に危機感を持たなければいけない」
また、指揮官も「千葉戦における勝ち負けの結果は我々にとって重要なものではない」と言うが、同時にレギュラーシーズン最終週のレバンガ北海道戦を含め最後まで高いレベルのパフォーマンスを続けていくことの重要性を強調する。
「スポーツの神様は試合で勝ちを狙って戦わない人々を見ている。そういうチームには罰を与えると私は思っている」とパヴィチェヴィッチは言う。
今週末、王者はチャンピオンシップに向けて弾みをつけるためにも、いつもと同じ勝利への渇望を持って千葉に乗り込んでいく。