ダーク・ノビツキー

写真=Getty Images

欧州出身選手としてNBA史上初のシーズンMVP受賞

ダーク・ノビツキーが、ファンの前で現役引退を表明した。

4月9日、2018-19シーズンのホーム最終戦終了後にマイクを握ったノビツキーは、「今日が自分にとって最後のホームゲーム」と語り、引退を発表した。

ノビツキー本人は、去就に関してシーズン終了後に決めると言い続けてきたが、おそらくだいぶ前から今シーズン限りでコートを去ることを決めていたのだろう。

サンズとの試合中、彼はコートで涙を必死に堪えた。地域活動、そしてクリスマスシーズンに難病と闘う子供たちに会いに何度となく地元の病院を訪問した様子をまとめたトリビュート動画が会場のビジョンに映し出されると、ノビツキーは頭を下げ、ジャージーで目元を拭った。

ホームのファンの前で最後となった試合でシーズンハイの30得点を記録した彼は、コートの中央に立ち、挨拶を行った。

「みんなも分かっていたかもしれない。今日が、自分にとって最後のホームゲームです」と語り始めると、スタンドはどよめいた。ノビツキーも無理に笑顔を作ろうとしたものの、その目には光るものがあった。

「ヨガの呼吸法を試しているんだけれど、きかないね、コレ」という冗談で会場を和ますと、彼はこう続けた。

「とても感傷的な瞬間。感謝、御礼を伝えたい人たちが沢山いる。マーク(オーナーのマーク・キューバン)、コーチ、球団関係者のみんなに、今夜のことだけではなくて、21年も支えてもらえて感謝している。ファンのみんなからもサポートしてもらえた。みんなにもアップダウンが激しいライドに付き合わせてしまったけれど、ファンのみんなは、いつだって自分の近くにいてくれた。サポートしてもらえた。感謝しています。今シーズンはコンディションが難しいシーズンだったけれど、チームメートのみんなにも支えてもらった。この21年で、200人以上のチームメートと一緒にやってきた。みんなに支えてもらい、プッシュしてもらえた。名前を挙げるには多過ぎるけれど、本当にみんなに感謝している」

ノビツキーは、サンズの選手の方にも目をやり、「今日は点を取らせてくれてありがとう」と話し始めると、この日NBA史上最年長で50得点超えを果たしたジャマール・クロフォードを指差し、「ジャマールに僕のショーを台無しにされちゃったよ」と、満面の笑みを見せ、ジョークを忘れなかった。

NBA史上最長となる1つのチームで21シーズンをプレーし、マブス一筋のキャリアを貫いた背番号41は、2007年に欧州出身選手としてNBA史上初のシーズンMVPに輝き、2011年には球団史上初優勝に貢献。NBA歴代3位となる1521試合に出場し、歴代6位の3万1540得点を記録している。

おそらく、ノビツキーは敵地でスパーズと対戦する明日のシーズン最終戦にも出場するだろう。代名詞の『フェイダウェイシュート』を含め、彼のプレーを脳裏に焼き付ける、最後のチャンスになる。